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深川03
 深川
 三話



 殺されそうな予感をヒシヒシ感じつつも、何とかかんとか深川を宥め賺して命がけで情報を入手することに成功した!

 疑う余地無く命がけだった。未だに足がガクガク震えてるし。ああ、これは単に歩き疲れただけかもしれないけど。

 まず、この世界、この場所が九洲と言うこと。これは確認だったが間違いないようだった。しかも字が違うことが発覚! 昔はこんな字で書いてたのかなぁとも思ったが、その後の情報を加味するとどうもまったくの別世界のような……。

 この九洲と言う地は、十数年前まで耶麻台国(これも字が違うし……)という国が納めていて、俺の知識にもあるとおりヒミコが治めている土地だ。しかし、ここでも相違点が合って、この世界でのヒミコと言うのは火魅子と書いて、女王に付けられる号であると言う点だ。耶麻台国は女系継承の国家で代々女王の御世が続いていたが、ある時からめっきり女の子が生まれてこなくなってしまって、それで代わりに男が統べていたらしい。しかし、どうも野郎だと上手くいかないようで、十数年前に狗根国と言う侵略国家に攻め滅ぼされた。
 そして数ヶ月前に大規模な反乱が起きたりして、一応今は耶麻台国のものになってるらしいが、それもなんだか複雑な事情なようで。

 まぁ、わかりやすく戦争状態であると覚えておこう。……問題だなぁ。

 そして、状勢もさることながら他にも問題点はあるわけで、え~とアレだ。そうだ。左道とか言う奴。
 俺の世界に無い理が存在しているらしい。これはどう考えてもここが別世界だという証明だし……。
 それについては深川もあまり多くを語らなかったが、単純な世界の構成は教えてくれた。

 すなわち五天。天界、仙界、人間界、魔獣界、魔界の五つの世界。よく分からないが行き来が可能ならしい。簡単ではないが、狗根国は魔獣界や魔界から、魔獣や魔人を呼び出して使役しているとか。なんて物騒な話も教えてくれた。
 それを呼び出すのが左道士。他にも色々術があるらしいけど、企業秘密という事らしい。

 深川は話疲れたのか、今は黙り込んでいる。
 俺の方は歩き疲れてしゃべる余裕が無い。
 結果的に黙々と歩き続けているわけだ。……って、そろそろ休憩したいんだが。

 言い出したら殺されるかなぁ。なんで俺一挙一動に命かけなくちゃならないんだろう。その内ストレスでハゲそう。

「見えた」
 深川はそう呟いて立ち止まった。
 俺は深川の横に並んで視線の先を追う。

「む~、何が?」
 何も見えなかった。あるのは森だけ。一応今は高台で崖になってる当たりにいるわけで、見晴らしはいいがそれだけ。
「村だ。これでメシのアテが付いたな」
 そんな事を言ってニヤリと笑う。
「ああ、そう言えばお腹空いたな。でも恵んでくれるのか?」
 その村というのが何処なのか未だに分からなくてきょろきょろと視線を巡らせる俺が、単純な疑問を口にすると深川は鼻で笑った。あ、ムカツクそれ。

「生憎と九洲は何処も先の反乱とこの後にあるだろう大戦に向けて、余裕のある民などいない。何処の誰とも知らない輩に分け与えてくれるような物好きはいないさ」
 楽しくもなんともない情報を嬉しそうに口にする。
「って、それじゃアテが付いてないんじゃ?」
 単純な疑問。あ、見つけた。ってちっちゃいし。村っていうか竪穴式住居が三つだけじゃん。あ~、でも本物見るとヒシヒシとホームシックな感情が湧き上がってくるなぁ。帰りてぇ。

「別に奪うんだから関係ないだろ」
 クスクスと笑う深川。
 ああ、そうですか。そうですね。確かに譲ってくれないなら奪うしか……って、ちょっと待て。
「奪うって……。そんな真似」
「出来ないなら別に構わんぞ。お前は餓えて死ね。このご時世、生きていたければ奪うしかないんだよ」
 えらく断定的だ。

「さぁ、どうする?」
 深川は試すように、俺を見る。

「まぁ、好きなだけ考えろ。私は先に行っている。見える場所だから迷うこともあるまいし。答えが出たなら追ってこい」

 そう言って考え込む俺を一人置いて去っていった。

 深川は、奪うために殺すだろう。
 そこに迷いのある奴にも見えなかったし。既に人一人殺している所を見ているわけだし。

 でも、さっきの殺しとはワケが違う。アレは殺し合いだった。相手の方にも殺されていいだけの覚悟とか、理由とかはあったと思う。

 これは、どうなんだ? 生きていくために殺すという点については同じでも、本当にそれは同じなのか?
 殺してまで、生きて行かなくちゃならないのか?

 分からない。全然分からない。






 九峪という男。言動や自ら語った生い立ちからも人殺しなんて出来る輩では無いことは明白だった。いや、そんな真似をする必要がない場所で育ってきたらしい。
 羨ましい話だ。
 殺される前に殺し、裏切られる前に裏切る。そんな世界を知らないんだから。

 さて、どう判断するだろう。少し楽しみだ。
 平和ボケしたあの男が、自ら血みどろの世界に足を踏み込めるかどうか。
 
 狗根国から追われ、邪馬台国にも面が割れている私はこうする事でしか生きていけない。
 そこに迷いはない。
 迷うべき理由が無い。


 殺戮はあっけなく終わった。これだけ山中にある以上、山人の集落だろうが男手は出かけているのか女子供だけだった。左道を使うまでもない。短刀でなで切りに出来た。
 とは言え思った以上に食料がない。食料があれば男達も猟に出るワケはないから当然だろうが。ともかく四、五日分は何とか確保できた。

 ふと、自分が九峪を頭の数に入れて換算していたことにおかしくなる。
 普通に考えればあいつはもう付いてこないだろう。
 何かに利用できるかとも思ったが、足手まといになる可能性の方が高い。
 ならば日が暮れる前にもう少し場所を移したい。後四半刻して来なければ――

「ふん」
 血に濡れた集落に立ち入って来た九峪。呆然と子供の死体を見下ろしている。

「答えは出たか?」
 私の言葉に、誘われるように顔を上げる。
 顔色が悪い。また吐くかなと思ったが、九峪はただ黙って私の方に歩み寄ってきた。

「お前、お前!」
 掴みかかって来た所を蹴り飛ばす。
 その対応は不愉快だった。

「なんのつもりだ九峪。まさか子供を殺したくらいで激昂しているのか?」
 分からない奴だ。さっきまではあれだけ私に脅えていたくせに。殺すと言えばそれだけで泣きそうな顔をしていたくせに。

「……ふざけんな! ふざけんなよ畜生! 何なんだよお前。なんで殺す! こんな子供殺さなくたって別にお前なら食い物奪えるだろう! 盗るなとは言えないけど、なんで殺すんだよ」
 確かに、気絶させる位で止めてやることも出来る。脅せば直ぐに逃げ出しただろう。

 だが、そんな事をしてどうなるというのか。

「勘違いするな九峪。これは慈悲だ。どのみち食い物を奪われたらこいつ等は飢え死にするしかないんだ。ひもじい思いをしてジワジワ死んでいくより、ひと思いに殺してやった方が楽だろう」
 特に餓えれば弱い奴から死んでいく。子供なんかは真っ先に。

「勝手に決めるなよ! 生きていくかもしれないだろ! なんとかなるかもしれないだろ!」
「ならないね。九峪、お前は飢えた事なんて無いだろ? だからそんな錯覚を起こす。いっそ殺してくれと懇願するほど飢えた経験が無い奴が偉そうに謳うな。この状況をより正確に理解しているのはどちらだ?」

「知るかよ! ああ、知らねぇよ! でも殺していいわけがねぇだろ!」
 その瞳に含まれた怒りのなんと純粋な事か。

 私は笑った。そんなきれい事を何の迷いも無く信じている目の前の男に。
 初々しいとさえ思った。
 そしてなにより、この純粋な存在を汚してみたいと思った。

 綺麗な女に悲鳴を上げさせ許しを請わせる事も楽しいが、こういう世間知らずを汚していって壊してしまうのもそれはそれで楽しそうだ。
 そんな余裕のある身では無いというのも自覚していたが、それでも楽しみを優先しよう。

 どのみち、私もそう長生きできる身の上では無いのだから。






 頭の中が真っ白になって、気が付けば叫んでいた。
 深川は俺が道徳じみたことを言えば言うほど笑みを深める。
 楽しそうに、笑う。
 虚仮にされている。そう感じて、俺の中のなけなしのプライドが爆発し、再び実力行使に出ていた。

 深川はあっけなく倒れた。

 ――あれ?
 手応えの無さに驚いていると、下から頭を引き寄せられ、気づいたらマウストゥーマウスでキッスを……。

「って、ちょっと待てぃっ!」
 強引に離れるとクスクスと笑う深川を睨む。
「な、なななななにするんだよぅ~っ!」
 動揺が丸見えの震えた声。ヤバイ、かっこ悪いぞ俺!

「いや、あまり可愛いことばかり言うものだからな」
「か、可愛いって……」
「今時乙女でもそんな台詞は吐かないものだ。なぁ、九峪。お前は難しく考えすぎだよ。生きるために私は出来るだけの事をして、それで生きているだけだ。この世界では、それが普通だ」
 ……絶対違うと思うんだけどなぁ。

 いや、そう言う輩がいることは分かる。そして深川がそうしなければ生きて行けない側だと言うのもなんとなく分かる。
 堅気の人間じゃないんだ。一度踏み外したら戻れないものなのかもしれない。

 でも、納得いかないだろ。
 よく分からないけど、理不尽だ。深川だって始めから――多分……――こうじゃなかったんだから。そして、そうしなくても生きていけるなら、それは絶対その方がいいに決まってる。

 出来うるならこんなガイキチとはすっぱり別れた方が利口だろうけど、だからって俺には他に選択肢も無いわけで、だったら、自分に降りかかるリスクを出来るだけ軽減する方向に持っていこうと、努力するのが務めってものだろう。

 ……なんとか、しないと。

「九峪。ついでにあんまり世間知らずな事ばかり言われると、いらついて殺したくなる。次口を開く時は細心の注意を払えよ。死にたくなければ」

 そう言って、迫力に腰が抜け気味な俺に覆い被さってくる。

 ヤバイ。犯される。くそぅ! 俺だって選ぶ権利はあるんだ! こんな所で俺のチェリーを強奪されてたまるかぁ!



「深川! 提案がある」
 もう、後には引けない。
 ここで殺されるかもしれないが、犯されたくもないし、深川の考えに染まるのもごめんだ。


「俺がお前を喰わせてやるから、だからもう殺しはするな」




 言ってから、これってプロポーズと何が違うんだ? と自分の言い回しの下手くそさを心の底から後悔した。













追記:
 三日連続なんて正気ですか? 多分壊れてます。

 と言うことで九峪が結局どうなったのかは次回のお楽しみに。予想外の結末には多分ならないでしょう(笑 さて、この後九峪は深川の事を更生できるのか、それとも逆に調教されるのか……。九峪にかなり不利ですが、まぁ、彼は不利な方が萌える燃える男ですから、何とかなるかも? 蛇蝎を更生させるよりはいくらか簡単でしょう。どちらも一般人からすれば不可能と言わざるを得ませんが。


 さて、web拍手のお返事でも。

 始めの五件です。

0:55 おほっ。新作発見。
0:57 ストーカー続けていたかいがあったな。
0:57 フフフ
0:58 これからも 期待してますよ。
1:00 深川の旦那(作者)様へ    すとかより
 と頂きました。
 誰が旦那じゃ~~~っ!!(笑 まぁ、あれです。どっちかと言えば奴隷です。
 それはともかくお久しぶりです。まだ見てたんですね。ありがとうございます。気まぐれから始まって気まぐれに終わるかもしれませんが、まぁ、なんとか終わればいいなぁと思います。そんなに長くならない予定ですが、予定は未定とも言いますし。
 コメントありがとうございました。

 え~と、後は断頭台の方の話でしたが、自己解決されたようなので何よりでした。う~ん、ワード以外でルビ標記できるフリーのテキストエディタソフト無いのかなぁ。htmlでやれって話かもしれませんが、加工が非常に面倒だしなぁ。ルビ無いと読めないだろうし、各個書きだとうざったいし……。いい方法会ったら誰か教えて下さいm(_ _)m

 後は、一応一週間以上休むから今日来てる分もお返事しておきましょう。

 一件目二件目三件目。

1:20 だーくねすれいんの蛇足、ダウンロード版出して貰えないでしょうか?流石に会社のではメール出せません
1:23 し、自宅のネット環境が悪く何時メール出せる様に為るか不明なのです。
1:27 まあ無理なら無理で脳内妄想で読んだ気になります・・・ああ、変な展開が浮かぶ、これは、これで楽しい?
 と頂きました。
 脳内補完して頂ければその方がいいかもしれませんが。まぁ、読みたいと仰る方を無碍にするのもアレだしなぁ、と言うことで期間限定で隠しリンクを設置。隠れてないとか丸見えだとかそんな話は知らない! ああ、知らないさ! 見えにくいだけで見えてるしね。なので自称エロな人は読んで下さい(爆 思い立ったが吉日で落としておいて、同僚に見られて気まずくなっても私は一切関知しませんので抗議はしないで下さいね。
 コメントありがとうございました。

 四件目五件目六件目。

1:37 深川01の、痛みと不快感。それが私に覚醒を促した。←この文を読んで。え?嘘だろ九峪寝てる相手を犯っ
1:40 ちゃった!?とか思って驚愕しました。その後、違ったんでガッカリ(?)しました。この話の九峪は足を踏み
1:43 はずして、悪人街道を歩むのか、適当にそこらでのたれ死ぬのか楽しみです。
 と頂きました。
 九峪がレイプ!? そんな甲斐性は奴にはありません。まぁ、あのまま深川が目覚めなければ柏手打って頂きますしていたかもしれませんが(謎 がっかりされたという事ですが、あの九峪は基本的に受け属性ですからね。ええ、あの時は混乱していたのです。今回の話はの後は……、ご想像にお任せします。
 九峪がこの後足を踏み外すのか、それとも……? というのは作者も知りません。まぁ、野垂れ死んでくれればそれはそれで面白いんですが、話としてどうなんでしょう。いっそやるかなぁ……あ、冗談です。
 コメントありがとうございました。

 七件目。

12:16 いずれ深川が水浴び中に九峪に襲われるシーンがあると見たっ!
 と頂きました。
 フムフム(メモメモ ご要望がありましたので次回当たり盛り込もうかなと思います(爆 でも今回の話の流れからだと難しいかなぁ。水浴び中に襲われるのは別の人にしようそうしよう。そしてその後深川に……、の方がいいかなぁ。まぁ、考えておきます。
 コメントありがとうございました。


 他にも押して頂いた方に大感謝!

 では本日はこまでで、次回は再来週になるかと思います。
 ヾ( ̄◇ ̄)ノ)) バイバイ
【2006/08/11 15:42】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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