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深川07
 深川
 七話



 俺たちを襲っていた魔人はわりとあっさりぶち殺されて、その後バニーガールズに連行されることに。深川は終始表情が硬いし、何か話しかけても黙殺されてしまう。
 仕方ないので、沈黙が大嫌いな俺は話が分かりそうで、あまり怖くない兔華乃というちびっ子と話をしていた。

「ふ~ん。それで魔人なのに耶麻台国に協力してたのか……」
 一番の疑問はそもそも魔人とは狗根国の左道士が呼び出すものと深川に聞かせられていたから、魔人が魔人を殺すと言う状況だった。
 だが、この兎さん達は現在は狗根国と協力関係になく、独立して自由に動ける環境にあるらしい。本来ならば魔人は呼び出した術者の言うことを聞かなければならないし、その術者が死んでしまえば生きていけないらしいのだが、このウサギさん達はその術者が死んだ後、別の人間に助けてもらって生きながらえ、その人への恩を返すために今は耶麻台国にいるのだとか。

 やはりいいことをすればそれだけ見返りがあるものなのだ。その辺深川には心の底から学んで欲しいと思う。
「九峪さんは何処の出身なの? 狗根国?」
 兔華乃は興味津々と言った表情で聞いてくる。う~む、なんて答えたものか。正直に言っても信じてもらえないだろうし、なんとなく素性を秘匿したがっている風な深川に刺されそうだし。

「それが全く分からなくてさぁ~。はっはっは。深川に拾われる前の事全然覚えてないんだよね」
 なんてさらりと嘘を付いてみた。
 まぁ、どうせ真偽のほどなど確かめようもないし。

「あら、記憶が無いんですか。お気の毒に。――それにしても狗根国の左道士は貴方の何に興味を持って、捕らえるなんて事をしていたんでしょうね」
「さ~て、そう言うことは俺にはさっぱり」
 実際俺に興味を持ってるのは深川だけだしな。まぁ、何を企んでるのか知らないけど、おかげでこうして生きているとも言えるかもしれない。

 兔華乃はふ~ん、とか意味ありげに頷いて深川に視線を送る。

「どうなんでしょうね?」
「答える必要はないだろう」
 深川はつっけんどんに答えた。
 その態度に表情を曇らせる兔華乃。なんだか一瞬で空気が重くなる。

「そりはそうと……」
 俺はその空気を振り払うために話を逸らす意味で、兎奈美という頭が弱そうな兎の方を見た。
 はじめに俺を助けてくれた奴なのだが、その肉体の成熟さと反比例するように脳の方は未熟ならしく、見ていてちょっぴり痛い感じだ。
「ん? どしたの?」
 ニッコリと笑って近づいてくる。

「え、いや、怪我大丈夫かなと思って……」
 そうなのだ。あの人知の及ばない領域での戦闘で、まったくの無傷とは言わず、あちこち血がにじんでいる。ちゃんと治療しないと破傷風になりそうだなぁと気になっていたのだ。

「あ、これ? 直ぐ治るから気にしなくていいよ~。別に腕や足がもげたワケじゃないし~」
「まぁ、例え手足を切り落とされようがまた生えるがな」
 さらりと魔人の異常性を告白してくれる。

「それにしても奇特な奴だな。魔人の心配など」
 珍獣でも見るような目つきで俺を見る兔音も、やはりあちこち傷ついている。本人は全く気にした様子もないが。
「で、でもよぅ。俺を助けるために女の子が傷つけられたって言うのは、こう、なんて言うか……」
 こう見えてもフェミニストなのだよ、諸君。って誰に言ってるんだ?

「……変わった奴だな、お前は」
 微妙な表情の兔音。
「でもそう言ってくれるのは嬉しいかも~」
 テヘヘヘと笑いながら兎奈美が抱きついてきた。
 規格外の乳二つが背中にむにゅっと押しつけられて、自然と鼻の下が伸びる。

 そんな俺の表情を、兔華乃が興味深げに観察していた。



 状況が一変したのはそれから直ぐの事だった。
 急に俺以外の全員の気配が変わり、立ち止まると厳しい表情で周囲を睨み出す。

「な、なんだ?」
 困惑する俺の手を深川が握る。
「お前は黙ってろ」
「へ?」

「兔音、兎奈美、あなた達は二人を連れて先に行きなさい」
「え~」
「姉様、それは……」
「私じゃ二人を抱えられないしね。それに、少しは私も身体を動かしたいの」
 にこやかに兔華乃が言うと、兔音と兎奈美は押し黙ってしまう。

 だから、一体何の話だ?
 状況の飲み込めない俺の事を、兎奈美が抱きかかえる。
「な、なに?」
「ちょっと揺れるから舌噛まないように口閉じててね~」
 兎奈美はにこやかにそう言うと、走り出した。

 視界がかすみ、とんでもないGが身体にかかる。

 木々の間を縫うように飛んでいるのか、人間には耐え難い動きに俺の意識は一瞬でブラックアウトすることになった。






 気が付けば辺りは真っ暗で、俺は兎奈美の膝の上で寝ていた。
 目を開いたと同時に兎奈美と目が合う。

「……おはよう」
「おはよ~」
 ニコニコと笑って何が楽しいのかコイツは。そう思いつつ身体を起こして辺りを見回す。どうやらまだ山の中ではあるようだ。

「あれ? 他の連中は?」
「さぁ?」
「さぁって……」
 どうも頭がクラクラする。血の巡りがおかしいようだ。

「はぐれちゃったみたい」
「はぐれた? 大丈夫なのか?」
「ん、何が~?」
 どうやら俺の心配は理解されなかったようだ。こういう頭が悪そうな奴と話してると疲れるんだよな、正直。

「そう言えばどうして突然走り出したんだ?」
「ん~、魔人が一杯来たから」
「一杯って、兔華乃大丈夫なのか?」
 あんな小さい身体で、化け物の相手を。それも沢山なんて……。

「姉様なら心配ないよ~。あ~あ、私も遊びたかったなぁ~」
「遊ぶって……」
「ぶち殺すと楽しいんだよ。アハハハ」
「……」
 ぬぅ。やはりコイツも魔人と言うことか。あどけない顔してぶち殺すとか言うし。

「でも姉様じゃ一匹も残らないだろうしなぁ。つまんな~い」
「……戦うの、楽しいのか?」
 おそるおそる聞いてみる。
「うん、楽しいよ」
「その、殺すのも?」
「? うん?」
 兎奈美はなんでそんな事を聞いてくるのか不思議そうだった。俺にはその態度の方が不思議なわけだが。

 察するに魔人というのはそれが自然なのだろうけど、こんな可愛い顔して殺しが好きだと言われると、なんだかこう、イライラする。それは俺の勝手な美意識なんだろうけど。
「九峪は人殺しとか嫌いなんだ」
「え、ああ。嫌いだな。深川にも止めろって言ってるんだけど」
 聞いてくれるような奴じゃないし。むしろどうにかして俺に殺させようと躍起になってるし。

「ふ~ん。やっぱり似てるかも」
「誰にだよ」
「え~とね、日魅子って女の子」
「ヒミコ? って、やっぱり耶麻台国の女王か?」
 まさか日魅子の事じゃないだろうしなぁ。ああ、あいつ心配してるかな。あまり泣かせたくなかったんだけど、帰れそうにないな。

「そうだね。一番偉い人」
「む~、でも女に似てるって言われてもなぁ~。そんなに女々しいかな」
「どちらかというと、優しいってことじゃないかな~。魔人だけど、私たちのこと人間相手みたいに扱うし~」
「だって基本的に魔人も人間だろ?」
「アハハハ、そんな事誰も思わないよ~。九峪へ~ん」
 楽しそうに笑って何故か俺のことを抱き寄せる兎奈美。

 む~、でもこの抱きしめられた感触は、確かに人間にしては規格外だけど、やっぱり女の子のものだしなぁ。
「で、何故に抱きしめる?」
「ねぇ、私がその気になればこのまま九峪のこと絞め殺しちゃえるんだよ~。口から内臓はみ出させるくらい、きつ~く抱きしめてあげようか?」
 偉く物騒な提案。
「や、それは勘弁して欲しいな」
「腕引きちぎっていい~?」
 そう言って腕を少し強めに握られる。
「駄目」
「え~、つまんな~い」
「死んじゃうだろ。俺か弱いんだからさ」
「そうだよね~。弱いよね~。だったらさぁ~、もう少し脅えてくれないとつまらないよ~」

 笑って、兎奈美は殺気を放った。

 深川など比較にならない上級魔人の純粋な殺気。
 呼吸が停止し、全身の筋肉が硬直した。目が見開かれて無邪気な顔で微笑む兎奈美に釘付けになる。

 兎奈美は固まる俺をしっかりと抱き直すと、不意に殺気を消した。

「はっ、はっ、はっ、はっ」
 呼吸が上手くできない。全身に嫌な汗をじっとりと掻いて、意識は背後にある兎奈美に向けられている。
 不意に兎奈美の顔が俺の肩口に置かれ、耳元で幼い声が囁かれる。

「人間なんかと一緒にしないで欲しいな~。こんなよわっちぃ生き物とさ~。間違って殺したくなっちゃうよ。あ、でも簡単には殺さないから大丈夫だよ~。フフフフ、もっともっと遊んでからじゃないとね~」

 長くざらざらと舌が首筋を這った。

 俺は上級魔人の物騒さを改めて思い知り、今晩コイツと一緒に寝なければならない自分の哀れさに、思わず涙を流すのだった。


 というか、遊ぶって何するんですか?













追記:
 いきなり場面転換でも良かったけど、話の都合上ここで一端深川と別れさせようと言う事で、兎奈美と浮気です(爆 深川の次が兎奈美って言う辺りが九峪の女運の無さを明確に物語っている気もしますが、ある意味羨ましいのか? 作者はさらさらごめんですが……。
 次回はいよいよ耶麻台国本拠地に到着。なんかあんまり九洲の現状が語られていませんが、その辺もぼちぼち出していこうかなと。話を大きくしすぎると風呂敷を畳むのが大変な気もしますが、多分無駄なあがきでしょう。何処までも広がる予感が致します。


 さて、ではweb拍手のお返事を。

 一昨日一件。

23:44 小説面白かったです。続きがんばってください。
 と頂きました。
 不肖ていご、全身全霊で頑張らせて頂きます(嘘くさい
 コメントありがとうございました。

 続いて昨日分。まとめて四件。

16:21 敵意を向けて無いとは言え、自分を一撃で殺せそる相手の乳を揉める九峪が好きです。流石大物の器を持ってま
16:24 すなぁ。頑張って兎さん達を籠絡して欲しいです・・・まあ今の状態じゃ難しいでしょうけど、生きるか死ぬか
16:27 で、魔界の黒き泉でも飲まないとパワーアップは無理ぽいが、何故か飲んでも即死か効果無しな気がしますが。
16:33 九峪は当然力を得た、人外を魅了する能力有りとかなら思い浮かぶが、地道に強くなる姿が思い浮かびません!
 と頂きました。
 まぁ、九峪は基本的にエロエロですからねぇ。命など軽いもんです(ぇ 大物の器なのか単に馬鹿なのか。ウサギさんは盛衰記では兔音がピックアップされましたので、今回は順番的に兎奈美となりました。まぁ、通常のSSではあまり目立たない兎奈美を救済というか。次回から出番がどうなるか謎ですが(爆 で、今回の九峪ですが、魔界の黒き泉は飲まないと早々に断言しましょう。でも、地道に強くならないというのも多分正解です。なぜならそんな描写を書くのがめんど(ry
 どんな能力を得られるかはその時までのお楽しみと言うことで。まぁ、ザ・ワールドとかエロモンとかでは無くなると思うけど、どうなるかな~。
 コメントありがとうございました。

 他にも叩いてくれた皆様に感謝!


 では本日はこの辺でヾ( ̄◇ ̄)ノ)) バイバイ。
【2006/08/26 00:28】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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