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深川20
 深川
 二十話



 選択肢④『ヒモ』。

 気乗りはしなかったが、自らが生産できないのならば譲ってもらえる立場になればいいのだ! という短絡的且つ素敵な作戦である。
 正面から頼んでも無駄ならば、搦め手を使うという極めて論理的な結論でもある。

 ……いや、分かってますよ。そんなもの上手くいくわけないって事くらい。

 でも、振り返ってみると、俺ってこの世界に来てから結構もててるワケですよ(勘違い)。

 深川だって、兎奈美だって、日魅子は元からだけど、蘇羽哉だっているし。
 多分溢れんばかりのモテオーラを振りまいていると言うことなのだと思うのだ。

 ああ、そこ。つっこまんでよろしい。
 利用価値があるからとか、生理的現象だといいたいんだろう。

 だがしかし、だがしかしだ! 少なくともこの時代の女性の価値観からかけ離れていたら、そもそもそんな自体にはならなかったと思うのだ。


 ……ああ、補強材料は他にないのは虚しいな。
 あれですよ、つまり半ばやけになってるからこんな作戦立案しちゃうんだな。

 まぁ、それでも他に選択肢もないことだし……。
 上手くいけば気持ちいいことも出来るかもしれないし……。
 一晩のメシくらいはその気にさせたのなら喰わせてくれるだろうし。

 後はこの世界に来るまでチェリーを貫いていた俺が、どこまでオトメゴコロをゲットできるかが勝負の分かれ目!
 後、変なのに引っかからない事を節に願う。もう心の底から!

 神様お願いです。
 今までの不運分だけ、俺に美味しい思いをさせて下さい。



 そんな不退転の決意で挑んだ一人目。
 ターゲットは街道を歩いてきた同い年くらいの女の子。格好から察するに山人だろうか。
 当然の如く武器持ちなので、失敗したときにやばそうだったが、命までは取られまい。ただナンパするだけなんだし。
 そもそもこの世界にナンパの習慣なんてあるのかなぁ。まぁ、無ければ免疫が無いのだろうから、性交じゃなかった、成功確率は上がるだろうけど。

「ちょいとそこのお嬢さん」
 背後から声をかける。

「ん?」
 幾分警戒しながら振り返った少女。うむ、可愛い。これはなんとしても落とさねば……。

「あー、実は聞きたいことがあるのだが」
「なぁに?」
 面倒そうに歩み寄ってくる少女。
 く、かなり緊張するなぁ。神よ! 我に力を!

「一発やらせろ」
「……」
 沈黙。
 あれ? 痛い沈黙だ。
 俺、ナニ口走った? 緊張で変なことを言ったような……

 少女の身体が目の前で旋回したかと思うと、その瞬間腹部に強烈な衝撃が走り、俺は宙を舞っていた。

 飛んでる! 俺飛んでるよ!

 藪の中に突っ込んで目を白黒させている俺を一瞥だけすると、少女は「死ね」と一言言い捨てて去っていった。



 二人目。
 今度は同じく山人の娘のようだが、先ほどよりいくらか年上そうで、物腰も落ち着いている。
 同じ轍を踏むまいと、今度はストレートな物言いは避けることにした。

「へい彼女、お茶しない」
「お茶とは何だ?」
「え、あれ? お茶って無いのか? うわぁさすが原始時代」
「? 用がないなら行くぞ」
「ちょいとお待ちになって。実は道に迷ってて」
「迷うも何も北に向かえば川辺で、南に向かえば美禰だ。一本道でおかしな事を」
「あうぅ、そうなんだ?」
「連れが先に行ってるんだ。急いでいるからもう行くぞ」
 そのまま歩き去る女。

 ぐぬぬ、そもそもこの時代の習慣も世情も知らないのに話が弾まないというか、見ず知らずの人間に道を聞く以外なんの話をしろと言うのか。
 ナンパって難しいなぁ。



 三人目。
 今度は声をかけるというスタイルを変えてみることにした。
 話題がないのならば、あちらからこっちに興味を持たせればいい。
 そんな思いで取り敢えず行き倒れてみた。

 道ばたに転がって人を待つこと三十分。そもそも往来がほとんど無い街道でやるのが間違いなんじゃないかと思い始めた頃に足音が……。

 ――この機を逃してなるものか! 見てろこのモテ男君の真の実力を。

 ざり、ざり、と土を踏む音が徐々に近づいてきて目の前で止まる気配。

 ぐふふふ、この俺様の本気のコンボを食らうがいいさ!
「あら、行き倒れかしら」
 身体をひっくり返されて、薄目に顔が視界に入った。

 キター! 滅茶苦茶美人だしなんかブルジョワっぽいぞ。なんか怪しい空気を纏っているが、コイツを籠絡してしまえば、多少は目処が立つはずだ!

「あら? あらあらあら」
 そんなことを言いながら、涎をすする女。

 ……ああ、こんな時になんだが、戦略的撤退が頭の隅をちらつく。

「可愛い坊やじゃない。うふふふ」
 そう言ってその手が頬をさする。
 不気味に微笑まれると、過去のトラウマがわさわさと蘇り――

「はっ! ここは一体!」
「あら、起きちゃったの? 大丈夫? 行き倒れてたみたいだけど、よければその辺でゆっくりと……」
「ああ、こんな事をしている場合じゃない! 介抱してくれてありがとう! 俺はもう大丈夫です。失礼!」
 そう言って走り去る。

 ち、畜生! なんで逃げてるんだこんな潜在一隅のチャンスで。

 しかもなぜか逃げて良かったと安堵している自分がいる。
 得体の知れない女だったが、もしかしてここで逃げたのは人生最大のファインプレーだったのかもしれない。

 取り敢えずそう言い聞かせることにした。






 その後も街道沿いの集落やなんかで声をかけたりして歩いたが、それなりの年齢の女性は大抵夫がいたりすると言う事が判明。平均寿命が短い分だけ早婚らしい。でも、身体が出来ていないうちに子供産むと余計に危険な気がするんだが、そんなことを考えてもいないんだろうか。
 そもそもこんな集落毎に世界が完結しているような、閉じた社会に異分子が入り込んで、女を口説くなんて真似が成功するわけが無いだろうと気づいたのが二日後の夕暮れ時。
 無理、無茶、無謀な作戦だったわけだ。
 ああ、後少しばかり相手を選び過ぎたかもしれない。

 顔偏差値60切ってる奴は自動的に弾いたし。
 そう思うと、街道で釣れたあの変な女は惜しかった。
 いや、本気で思ってるワケじゃないけどさ。

 トボトボと、本日も野宿かと思いながら街道沿いの集落を歩いていると、道ばたで荷物をまとめている女が目に入った。
 見た目ボロボロで、如何にもよそ者然としたナリだった。
 それでも傍目に美人ではあったし、どことなくその周りにとけ込まない雰囲気に、親近感が湧いたりもした。

 ――まぁ、駄目で元々だしな。

 半ば開き直り、オペレーション『行き倒れ』を発動する。

 手前からふらふらと如何にも死にそうな感じを装って(実際なれないことをやって疲労困憊の上、空腹だったので演技とも言えないが)、その女の前を通り過ぎる。

 視線を感じながら、不自然にならないように気を付けて倒れた。

 ふっふっふ、これで無視出来まい。
 と言うか、あからさますぎるなコレ。まぁいいか。

 開き直っていると、近づいてくる足音が。ちょっとドキドキしていると、なぜか女は俺の足を掴んで歩き出した。

 ぐ、な、なんて扱いを! 人をものみたいに。ああ、服が汚れる! 汚れちゃうから!

「行き倒れにも決まりはあるのよ。せめて最後くらい人に迷惑にならないようにひっそりと死になさい」

 呆れたようにそんな事を呟く。

「あ?」
 あ、思わず腹が立って口を開いてしまった。

「なんだ、まだしゃべるだけ余裕あったんだ。じゃあ、頑張って人のいないところまで行って倒れたら?」
 なめた口を……。やはりこの世界は血も涙も無いな。人情ってモンを学んでくれ。頼むから。

「あれ? ここは?」
「お腹が空いて前後不覚か。それとも倒れたときに頭でも打ったのかしら?」
「あんた、誰?」
「誰でもいいでしょう? 起きたのならさっさと何処か行けば?」
「……」
 あ、今本気でむかっと……。食らえ! 俺様の熱視線攻撃!
「何?」
「いや、ちょっと驚いちまった」
 戸惑う女に意外な一言で追撃!

「……どうして驚くの?」
 聞き返してきた時点で勝率は八割だよチミィ~(誰?)

「気づいたら何処か分からなかったって言うのもあるけど、気づいて目の前にいた人があんまり綺麗だったからさ」
 ヤバイ。歯が浮きそう。言ってて赤面するぞコレ。

「な、な、なんて事言うのよ」
「え、いや、だって……」
 あれ? こんな台詞言ったら相手の正気を疑うモンだと思うが……。この反応はもしや。

 全軍今が好機じゃ! 突撃~っ!

「君の方が綺麗じゃない」
「……俺男だけど?」
「わ、分かってるけど、だって実際私汚いし」
「そうかな?」

 く、実際この髪なんだ? 少しは手入れしろよ。枝毛だらけっつーか、ヤバイ感じなんだけど。

「こんなに綺麗な人、はじめて見たよ」
「え」

「名前、教えてくれないか?」



「き、忌瀬……」

 戸惑うように名乗った忌瀬。

 ふ、落ちた。

「俺は九峪」

 ククク! 見たか野郎ども! 俺だって本気になれば女の一人や二人、ちょろいもんだーっ!

 そう叫びたいの堪えてミッションを続ける。

「忌瀬か。いい名前だね」
 それは言いがかりにも似た台詞。
「そ、そう?」
「うん。ところで忌瀬、もう日が暮れるけど今日はここで?」
「そのつもりだけど」
「じゃあ、もう少し話してても大丈夫かな? 嫌じゃなければだけど」
「……そう、ね」

 クククク、後は適当にあしらってメシをゲットするのだ! チョロいぜ世の中! 神様ありがとう!



 なんて増長していたのだが。

 それから一時間後……

「なぁ、忌瀬、少しでいいんだが、食べるものわけてくれないか?」
 控えめなお願い。

「……え、嫌よ」

「……」


 俺は現実の厳しさを再び思い知ることとなった。













追記:
 気分で二日連続更新! でも話は全く進んでいませんねぇ(苦笑
 元々一度に出そうかと思っていたくらい進んでいません。まぁ、結構どうでもいい話ですし。

 微妙に重要なのはエキストラ三名でしょうか……。誰が誰とかは敢えて言うまでもないと信じますが、これっきり出番が無くならないことを祈るばかりです。まぁ、三番目の人は多分出てきますけどねぇ。

 それはともかくようやく成功した九峪のナンパですが、ごはんに直結しないという悲しい事実が判明。ぼちぼち飢え死にかなぁ(笑
 まぁ、見るに見かねた救いの使者は直ぐ近くで出番を待ってますので、次回辺りノコノコと現れるはずですが……。


 ではweb拍手のお返事を。
 昨日分。一件目。

20:59 九峪の生存能力を考えると実に妥当な職業だなぁ
 と頂きました。
 妥当だけども上手くいかないのが九峪の悲しいところ。恋愛感情と食糧事情はリアリストな三世紀人では別物なのです。まぁ、貢がせるだけのスキルが九峪に無いせいかもしれませんが。
 コメントありがとうございました。

 二件目。

21:28 日魅子の中で復興と言う事業の優先順位がかなり下がっている気が(w 元からあんまりやる気無いかな(マテ
 と頂きました。
 復興できればそれでいいという話でもないと言うことなのか、錯乱気味で正常な判断が出来ないでいるのか。復興しなくていいとまでは思ってないと思いますけど。人間最善と分かっててもその手段をとれないことなど幾らでもありますからねぇ。
 コメントありがとうございました。

 今日の分。

1:55 世話してくれそなおネエキャラ…寝太郎がいるじゃない!
 と頂きました。
 あははは、いますねぇ。でも九峪の第六感がそいつは危険だと回避してしまいました。そっちの貞操は九峪も守り通したいようで(笑 まぁ、機会があれば再会するでしょう。
 コメントありがとうございました。

 他にも叩いてくれた皆様に感謝を。


 お次は直接コメントが。
 一匹さん。はじめましてですね。

紐か!?
第四の選択肢は紐なのか!!!11!
 と頂きました。
 ヒモなのです。どうにも九峪は一人で生きていけませんからねぇ。誰かに世話して貰わないと……。行き着く先は女殺しですが、この九峪ではそれも辛そうですねぇ。
 コメントありがとうございました。


 では本日はこの辺で。ヾ( ̄◇ ̄)ノ)) バイバイ
【2006/10/13 14:42】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(1) | page top↑
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コメント
どうも、北野です。

うゎ~お。
九峪の好感度急転直下(何か違う?)
流石天然ジゴロだけど天然じゃなく意図的だとねぇ・・・。
なんかこう・・・ねぇ?(ナニ)

最近リアルが忙しい北野でした。
【2006/10/13 23:33】 URL | 北野 #-[ 編集] | page top↑
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