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出雲盛衰記07
 出雲盛衰記
 七章



 雲母がウサギ小屋に迷い込んでから四日が経っていた。
 毎日繰り返される九峪と兔音の逢瀬にいい加減嫌気が差していたが、動けるほどには傷は回復しておらず、睡眠不足が解消されることはなかった。

 そのせいで昼間からウトウトしていると、がさごそと家捜しするような音に目を覚ます。
 見ると兔音が旅支度をしていた。

「? お出かけですか?」
「姉様達の帰りが遅い」
「……心配なんですね」
 兔音はギロリと雲母の事を睨め付ける。

「ふざけたことを言うな。こういうときは私に黙って面白いことをやっているに決まってるんだ。だから様子を見に行く」
「……なるほど」
 雲母はあまり突っ込むと殺されそうなので、詳しい事情は聞かないことにした。

 ところが、この場には火に油を注ぐのが趣味の男がいた。
「ウサギは一人じゃ寂しくて死んじゃうんだよ」
 中に入ってきたと思ったら、含み笑いのまま九峪はそう言って同意を求めるように雲母に視線を送る。
「昨日の夜だって、寂しくて寂しくて兔音死んじゃうよぉって、俺の胸に泣きついてきてさぁ」
 まったく見かけによらず可愛いんだから、と言った時点で見事にはり倒されていた。

「天目に会えなくて泣きついてたのはお前の方だろう。それじゃ、留守番は頼んだぞ」
 兔音は九峪の生死も確かめずにピシャリと表の戸を閉じると行ってしまった。

 ピクリとも動かない九峪。
「お、おい、大丈夫か?」
 魔人の一撃を食らったのだ。死んでいなくてはおかしい。
「……」

 動かない九峪。

 雲母はそっと近づいて、身体を起こす。
 その瞬間九峪と目が合ってしまった。
「なんだ、生きてたのか」
「……」

 沈黙を続ける九峪。
「ん?おい」
 顔の前で手を振ってみる。
 ピクリとも反応しない。
 九峪は目を開けたまましっかりと気絶していた。



「ココア誰、和菓子はドコ?」
 目覚めた九峪はしっかりと記憶障害を起こしていた。
 時々ワケの分からない事を呟いている九峪をどうしたものかと首を捻る雲母。

 ―――まったく、厄介ごとにばかり巻き込まれる。

「なぁ、あんた」
 始め雲母はまた戯言かと取り合わなかった。
「いや、あんただよ」
 問いを繰り返され、振り返る。

「何か思い出したか?」
「いや、それが、全然。俺は誰だ?」
「九峪、とか言う名前しか知らないが」
 九峪、と小さく呟いて頭を振る。

「駄目だ、さっぱり思い出せん」
「そうか、ご愁傷様」
「って、それだけかよ。ここドコなんだ?アンタ誰だ?」
「私は雲母。ここは阿祖の山奥だ」
「阿祖?」
「知らないのか?」
「聞き覚えはある気がする……。ここってアンタの家?」
「違う」
「じゃあ俺の家?」
「違うんじゃないのか?」
「アンタも何にも知らないのか」
「ああ」

 九峪は暫く黙り込むと、唐突に立ち上がって外に出ると、辺りを見回している。

「ん~。困ったなぁ。全然思い出せない」
「気の毒なことだ」
 雲母は地面に座り込んだ九峪を、なぜか若干羨ましそうに見つめていた。

「おい」
 雲母に呼ばれて振り返る九峪。
「飯でも食おう。きっとその内思い出すさ」
「ああ、そうだな」
 九峪は楽観的に笑って頷いた。



 目の前に運ばれてきた破滅的な料理。
 何をどう加工したらと思うような、吐き気を催す悪臭。
 ダリの抽象画のような盛りつけ。
 目にしみるような湯気が立ち上っている。

「どうした?食べないのか?」
 否定を許さない強い口調で雲母は九峪に料理を突き付けた。
「……なぁ、雲母。これは、なんて言う料理だ?」
「名前など無い。なんだ?私の料理が食べられないのか?」
「いや、頭痛がするし、ご飯はいいや……」

「遠慮するな、喰わせてやる」

「自分で喰えよ」

「お前の為につくってやったんだぞ?」

「……暗殺でも企んでらっしゃる?」
「私の手料理が食べられないというのか!!」
「こんなもん食えるかーーーっ!!!」

 ドンガラガッシャン

 ちゃぶ台を盛大にひっくり返す九峪。

 雲母は愕然として、九峪を見つめる。
「そ、そんなに嫌なのか?一生懸命作ったのに」
「こんなもんは料理と言わん。ちょっと待ってろ」
 九峪はそう言って炊事場の方に向かった。

 十五分後……
 元の位置に戻されたちゃぶ台の上には、至極まともな料理が並んでいた。
 近くの小川で取った魚の塩焼き。みそ汁。ご飯。

「おお」
 雲母は久しぶりのまともなご飯に、感動してしまう。
 ちなみにここ数日は、乾し肉や乾し飯くらいしか食べていなかった。

「こ・れ・が・料理ってもんだ」
 大したものでもないのに偉そうな九峪。

「しかし、記憶は無いんじゃないのか?」
「自分のことは思い出せんが、料理くらいはな。大体全部忘れたなら口を開くことも出来ないだろ?」

「それもそうか」
 二人は黙々と食事を取り終える。
 しばらくは満腹感による沈黙。

「……」
「……」

 先に口を開いたのは雲母の方だった。
「お前、天目という奴を知っているのか?」
「天目……」
 呟いたと思ったらガタガタと震え始める。

「な、なぜだ、その名前を聞くとふるえが止まらない……!」
「……お前の知り合いじゃないのか?」
「覚えてない。と、いうか、なんか思い出したくないような」
「なら、思い出さなくてもいいだろう」
「そうだな、そうしよう」

 九峪は悪寒を振り払うように首を振って雲母の方に目をやる。
「怪我してるな、アンタ」
「ん? ああ、大したことはない。もう大分いい」
「そんな怪我してるのに、俺に飯作ってくれようとしたのか。いい奴だな、アンタ」

「べ、別にそれは私が食べたかったから、そのついでで……」
「あんなもん喰いたかったのか?」
 茶化すように言った九峪だったが、氷のような雲母の視線に口を塞ぐ。

 一方雲母もさすがにさっきの料理はあり得ないという自覚があったのか、顔を赤くして直ぐにそっぽを向いた。
「教えてやろうか、料理」

「え?」
 不意に出された要求に戸惑う雲母。

「教えてやろうかって。さすがにその年で料理も出来ないのはマズイだろ?まあ、別に俺も上手いワケじゃないけどな」
「い、いいのか?」

「……どうせ記憶が戻るまではどうしようもないしな。なんかここ山の中みたいだし。怪我人のアンタに何処か案内して貰うわけにはいかないだろ?」
「まあ、そうだな」
 なんとなく頷いてしまう雲母。

「怪我が治るまで俺はアンタに料理を教える。怪我が治ったら、俺を何処かに案内してくれ」
「何処かって?」
「知らん。まかせる」

 堂々と言い切る九峪。
 雲母は呆れきった顔をして、ため息をつくと疲れたように呟いた。
「分かった。まあ、勝手にしてくれ」


 こうして、九峪と雲母の奇妙な共同生活が始まることになった。








 
追記:
 ああ、終わった終わった。相変わらずあまりにも適当な展開。十五分でどうやってご飯炊いたんだ?謎ですね。
 妙な引きで終わらせましたが、この後甘ぁ~い展開になるのかどうかは謎ですね。多分ならないでしょう。
 九峪の記憶喪失をどういう形で戻すかとか、ああ、色々考えないとなぁと思いつつ、全然その気もない作者でした。


 さて、アトガキの後は、web拍手の紹介なぞをいつもやってるわけですが、昨日の分を昨日紹介しちまったので、ないんですなこれが。あの後来るかと思ってたんだけど、淡い希望は砕け散りました。まあ、世の中そんなもんです。

 なんとなくこれだけで終わるのもアレなので、自作小説の方の話を全部してなかったので、その話でもしようか。
 檻の中。
 タイトルからしてこじつけ。なんとなく抽象的なタイトルにしたかっただけ。と言うかいつも適当にタイトルつけてから書き始めて、直さないんだよね。この話しも一つもプロット作りをしていない意欲作。”神”とかの設定もなんとなくこうしたらいいんじゃね?くらいのアレで適当に書いてるので、深く考えると矛盾だらけです。ネーミングセンスの悪さは別に今に始まったことではないが、霽月景雲は三界行のキャラの名前を足しただけ。妹の梓に至っては主人公じゃん。ちなみに関連はありません。名前考えるのが面倒だっただけ。兎奈美というキャラの名前は言うまでもなく火魅子伝から拝借しました。まあ、性格とかは別に兎奈美を意識してないけどね。回文名のキャラを出したかっただけ。
 ちなみにあらすじ
 "神"によって恋人を失って妹と猫一匹と同居している主人公、霽月景雲(せいげつ けいうん)が、"神"を狩るお話。"神"の被害増大に伴う法改正などの社会的な背景を取り混ぜつつ、そこで"神"を悪用して犯罪をしている奴をとっちめる。その過程で恋人の仇に今度は妹とかが狙われてしまう。
 とか、そんな話し。まぁ、あまり的確なあらすじではないので注意が必要。この話に出てくる国東夜眞畝が主人公のトンデモ系恋愛小説(?)もあるけど、修正しないで出す気はない。修正する気もあんまり無い。先に書いたのはそっちだけど、背景として檻の中を読んでいないと、物語の核心が一つたりとも分かりません。その二つの間を取り持つような話し、籠の鳥も執筆中だが話の方向性が違うのでない方がいいような気もする。
 ちなみに檻の中と未完で晒している壊れかけの楽園、ついでに生体人形師は全部同じ世界の話し。チェーンデスマッチも同じだけど、特にアレは世界状勢などどうでもいい話なので、背景などあってないようなもんだが。

 ふう、だらだらと下らん設定をまき散らしましたが、この辺で止めとこう。一言で言えば読むほどのものでもないと言うだけです。

 では、今日はこの辺でヾ( ̄◇ ̄)ノ)) バイバイ
【2006/02/16 19:27】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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