スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【--/--/-- --:--】 | スポンサー広告 | page top↑
出雲盛衰記12
 出雲盛衰記
 十二章



 九峪は自分の上から雲母を押しのけると、しんと静まりかえっている森に視線を走らせた。

「気づいたか? 雲母」
「誰にものを言っている」

 何処か不満そうにそう呟くと、立ち上がって服を着込み始める。

「……まったく何処の誰か知らんが無粋な奴らだ」
「全くだな」

 九峪も脱がされた服を着込みつつ、じっと一本の木を見つめる。

「清瑞。出てこいよ。いるんだろ?」

 ガサ

 露骨に動揺が伝わってくる物音。
 不意を衝かれて驚いたらしい。
 バツが悪そうに出てくると、まだ下半身丸出しの九峪を見て凍り付く。

「ん? どうした?」
 首を傾げる九峪。
 真っ赤になって俯く清瑞を見て、九峪は自分のモノを見下ろす。

「ああ、こりゃ失敬」
「早くしまえ」

 雲母がそう言って九峪の股間を蹴り上げる。

「おまっ――!」

 声にならない声を上げてもがき苦しむ九峪。
 そんな九峪を尻目に、雲母は清瑞の方へ目をやる。

「気づいているか?」
 清瑞は一瞬迷ったが、直ぐに頷き呟いた。

「敵だ」
「数は?」
「おそらく百か、そこら」
「他には?」
「僅かだが鎧の音がする。多分何処かの正規兵だろう。かなり統率が取れているし、山賊の類じゃない」
 間髪入れずに聞いた雲母の問いに、清瑞は迷い無く答えた。
 雲母は感心したように笑みを浮かべる。

「その年で大したものだな」
「……別に」
「謙遜するな。それよりこのこと、早く伊雅殿に伝えるべきではないのか?」
「ああ」
 清瑞は雲母の事を一瞥だけすると、直ぐに里の方へ走っていった。

 雲母はその後ろ姿を眺めながらうっとりとする。
「なぁ、九峪。随分上物だと思わないか?」
「……」
「おい、九峪?」
「…………」
「……今度は潰すぞ」
「はいぃ~っ! なんでございますか雲母様っ?」

 ふざけた返事をしながら起きあがった九峪に、雲母は大きくため息をついて見せた。
「ふう。百かそこらの兵に囲まれてるんだぞ? 自覚はあるのか?」
「いや、そこは雲母が頑張ればさ。清瑞もおっさんもそれなりにいけるだろうし、百くらいなら大したこと無いだろ?」
「かもしれんが、お前はどうする?」
「やるさ。かる~くな」

 九峪はそう言ってつまらなそうに笑った。
「殺れるのか、お前に?」
「ん? 何の心配だ、それ」
「いや、人殺しが出来るようには見えなかったものでな」
「ああ、はいはい、確かに軍人さんに比べりゃ淡泊ですけどね。それでも必要があれば幾らでも殺るよ」
 何も気負わずに軽く応じる。
 雲母は納得が行かなかったが、ことさらそれ以上追求もしなかった。

 遠くから、少しづつ聞こえてくる行軍の物々しい音。
 雲母は腰の剣を一度確かめると、久しぶりの感覚に笑みを浮かべた。



 深紅の鎧を着込んだ兵士達。その中で一人だけ毛色の違う人物がいた。
「やれやれ、一体キョウ様は何のつもりで、こんな小さな里を襲えなどと」
 気乗りしないのかそんな事を呟いて、ため息をつく。
「藤那様。準備、整いましてございます」
「ご苦労。では、やるとするか。一人たりとも逃すなよ」
「はっ!」

 ぞろぞろと兵が里に向かって動き始める。
 藤那はそれを後方で見ながら、ゆっくりと付いていく。

「うわあぁあぁああああっ!!」

 突然、前線から悲鳴が上がった。
 藤那は始め、それが里のモノの声だろうと考えた。
「ま、待ち伏せだっ!! 待ち伏せされてるぞ!」

 続いてそんな声が上がって、やれやれと頭を掻く。
 別にこの程度想定していなかったわけでもない。
 神器の精がわざわざ火魅子候補の一人を送りつけるのだから、敵もそれなりのものだと見るべきだ。

 分かっていながら乗り気ではなかった藤那はその予想を口に出していなかった。おかげで部隊は混乱している。

「落ち着けっ! 敵は少数だ、隊列を整えろ!」
 一応指揮官として檄を飛ばす。
 周囲に火が放たれて、炎の揺らめきの中に藤那の目にも、一瞬的の姿が映った。

 美しい黒髪の少女。
 尋常ならざる身のこなしで、一人二人と、斬り捨てては間合いを取っている。
 まだ里の中にまで入り込めていないせいで、多人数の利がそれほどない。むしろ木などの障害物を利用して、いいようにやられてしまっている。

 ――ちっ。ああ早くては私の方術も狙う暇がないな。

 山間の小さな里に、それほど多くの手練れがいる通りもない。一人でも討ち取ってしまえば、それで形勢は逆転するはずだが。
 そんな思考をしていると、別の方面からも悲鳴が上がる。

 見ると銀髪の女が鮮やかに舞うように兵士を斬り殺している。
 こちらのほうも尋常ではない腕だ。
 その近くで戦っている白髪の老人もまた、ただならぬ使い手のようだった。

「一体、何だというのだ。こんな山奥に手練れがぞろぞろと」
「おや? 藤那じゃん」

 唐突に背後に湧いた気配に、藤那は驚いて振り返る。

「――っ! 九峪?!」
「なんだよ、お前も復興軍に入ってたのかぁ。随分大きくなったなぁ」
 よしよしと頭を撫でる九峪。
 藤那は九峪の腕を払いのけると、唐突に現れた人物に動揺しながらも叫ぶ。
「貴様っ! なんでこんな所に」
「いやぁ、まあ行きがかり上。で、何してんの?」
「何って、それは……」
「お前等復興軍だろ? なんでまたこんな場所。身内みたいなもんだろ」

「う、うるさい。いいから余計な口出しはするな」
「藤那様! 誰ですかそ奴は」
 副官がいつの間にか現れた九峪に、露骨に剣を向ける。
「コイツは、その、昔の知り合いなんだが……」
「知り合いねぇ。もうちょっと言い方あるんじゃないか?」
「うるさいと言ってるだろ! とにかく邪魔するならお前と言えど斬るぞ」

 九峪は仕方ないなぁ、と呟いて腰に差していた剣を引き抜く。

「く、九峪?!」
 慌てて間合いを取ろうとする藤那。

「悪いな、藤那。この里を滅ぼされるワケにはいかないんだよ」
 剣を振るう九峪。
「藤那様!!」

 庇うように副官が剣の軌道に身体を滑り込ませる。

 死すら覚悟して、きつく目を閉じる副官。

 だが、痛みはいつまでもやってこなかった。

「……っく、あ」

 背後から、藤那の苦鳴が聞こえ、慌てて振り返る。


 ぽた……ぽた……ぽた……


 副官の目に、藤那の胸を貫いて伸びる、血に濡れた剣が飛び込んできた。


 どさり、と崩れ落ちる藤那。

 剣はずるりと抜けて、九峪は血に濡れた剣を副官に向けると、ニッコリと笑って剣を振り下ろした。

 副官が最後に感じたもの。


 それは、首筋に降って湧いたように走った、鋭い痛みだった。










追記:
 藤那ぶっコロ。出てきて直ぐ死亡? 相変わらずあつかいが酷い。ごめんね藤那。

 さて、アトガキはこの程度でいいか。アトガキになってないって? いいんです。気にしたら負けです。

 では、金曜日からたまっているweb拍手のコメントのご紹介でも~。

 まず、2/24分。土曜日分を上げた後に来ていたようですね。同じ人から大量に。

23:51 ①狩って捌いてる兎って魔兎族かと思った。②雲母さんはツンデレラ。③清瑞から乱波ひいたら出番減少…?
23:52 ④ちゃんサマ修正は非常にざんねんー。ちゃんサマverとそうでないの置くとかダメ?ダメかな。そうかぁ…
23:53 ⑤あぁでも一人称いじるの面白いかも…紫香楽が吾とか、紫香楽が麿とか、紫香楽が朕とか、紫香(ry 。
23:55 ⑥以上、昨日来れなかったのでいっぱい送った。でもほぼ無駄話。りゃくしてムダバナー。バナーあったっけ?
 と、頂きました。しかし凄い量……。
 では、番号で分けられているのでこちらも番号でお返事返しちゃいましょう。
 ①九峪どんだけ偏食家なんですか…。それだと雲母の味覚を馬鹿に出来ないね。まぁ、これは作者が散々魔兔族をウサギだとか、すんでるところをウサギ小屋とか書いたせいもありますね。ごめんなさい。
 ②ツンデレラ……。なってます? 一応ツンデレ強化月間中なので、ツンデレ度増量しようと頑張ってるんですが。
 ③清瑞は正統派剣士にしよう! と目論んだのですが、今回の動きは乱破っぽいですね。やはり蛙の子は蛙です。って言うと伊雅の子供じゃないみたいで、伊雅がかわいそうですね。
 ④ちゃんサマ……。確かに、天然なだけに面白かったんですが。いっそのことちゃんサマにするか。
 ⑤紫香楽好きですか?
 ⑥無駄話大歓迎。惜しむらくはそれを面白いネタに出来ない作者の力不足具合ですが。ちなみにバナーはまだ作ってないです。試作が何個かあるけど。

 いやいや、それにしましても、たくさん送ってくれてありがとうございます。これからも良かったら送って下さい。お願いします。



 では、続いて2/25分を。

23:54 幻聴記の九峪は強いのか弱いのか不敵なのか純情な性格なのか、色んな所が謎でいいです。危険な知識とか(w
 と、頂きました。
 ええ、これはもうずばっと言ってしまいましょう。

 キャラがぼけてるだけです!!

 どんな九峪したいかなんて考えてないから、ピンぼけもいいところですね。まぁ、他のキャラも大概ですが。まぁ、そのワケノワカランのが九峪のキャラだと割り切っちゃえ(ぇ まぁ、アレはそう言うもんだと……(苦しい言い訳だな~

 コメントありがとうございました。暇なときにでもまたポチッと押して下さい。




 26日はweb拍手は押して頂いていますが、コメントはございませんでした。押してくれた人、ありがと~♪


 では、本日はこの辺で撤収します。ヾ( ̄◇ ̄)ノ)) アディオ~ス
【2006/02/27 11:57】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
<<出雲盛衰記13 | ホーム | 第十四回 火魅子伝SS戦略会議>>
コメント
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURL
http://sophist00.blog48.fc2.com/tb.php/28-f2174665
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。