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出雲盛衰記13
 出雲盛衰記
 十三章



 ――頭がボウッとする。
 かすむ目に映るのは薄暗い森。
 遠くで人の話し声が聞こえる。
 私は、一体どうしたんだ……


 次第に覚醒していく意識の中で、藤那は唐突に状況を思い出して目を見開いた。
 途端に激痛が頭を襲う。

「っつ……、ここは、どこだ」
 頭を抑えながら立ち上がる。
 足下が覚束ず、今まで寄りかかっていた木に手を突いて身体を支えた。

「山の中、のようだが……。九峪はどうしたんだ? 私の部隊は……」

 遠くの方で声が聞こえる。
 藤那は誘われるように声の方に歩を進めた。



「……で、これからどうするのだ?」
 雲母は昨日麻酔で眠らせた、藤那の副官に悪戯しようとしている九峪に蹴りを入れながら、ぶっきらぼうに聞く。
 問いただしたのは伊雅の方にだ。

「こうなっては仕方ないな。天魔鏡の思惑ははっきりした。みすみす殺されてやる言われもない。復興軍に敵対する」

 伊雅は迷い無く断言する。
 雲母がちらりと清瑞を見ると、清瑞も黙って頷いた。
「と、言うことだが? 九峪」
「……う~ん、ま、それはいいんじゃね? 問題はむしろ雲母、お前だろ。都督にはどうするんだ? 戻るのか?」
「都督?」
 伊雅が不審そうに雲母を見る。

「……始めはそれも止む無しかと思っていたんだがな。だが、戻ってみすみす処刑されるよりは、伊雅どの達と部下の仇を討った方が、まだ申し訳が立ちそうだとも思う」
「なるほど。まぁ、死ぬのは簡単だからな。好きな死に方選べばいいさ」
 九峪はそう言いつつも、にやけた顔でまだ副官の女に手を伸ばしている。今度は清瑞に蹴られた。

「ちょ、ちょっと待て。その話だと雲母殿、おぬし……もしや」
 伊雅はかすかに震えながら、雲母を指さす。
 雲母は神妙な顔で頷く。
「左様。察しの通り私は狗根国の軍人です。狗根国四天王、月影将軍雲母」

「し、四天王!!」

 驚愕に顎がはずれそうなほど口を開けて固まる伊雅。
 暫く固まっていると、ばきき、と木を踏むような音が響き、全員抜刀しながらそちらを振り返る。

「……な」
 そこには顔面蒼白の藤那が、驚いた表情で立っていた。

「四天王、だと……!!」
 藤那はぎりりと歯を食いしばって、憎悪を籠めた目で雲母を睨む。
「だとしたら何だ? 偽の火魅子候補」

 藤那はよろよろと雲母に詰め寄ると、胸ぐらを掴んで額を突き付ける。
「貴様らが、この九洲でやったことを忘れたとはいわせんぞ! 貴様のせいで私の里も、両親も!」
「別に詫びる気はない。弱い奴は搾取される。それは理だ」

「ふざけるなよ、お前っ!!」
 いきり立った藤那は雲母を殴りつけようとして、背後から九峪に羽交い締めにされる。
「九峪、貴様! 離せ!」
 目覚めたばかりでへろへろな藤那が九峪をふりほどけるワケもなく、あっさり雲母から引きはがされてズリズリと後退させられる。

「まぁ、落ち着け藤那。命令が下ればそれを実行しなくちゃならないのが軍人ってもんだ。別に雲母だけ悪いワケじゃないぞ」
「うるさいっ! 貴様もこんな奴とつるみやがって! 見損なったぞ」
「ああ、はいはい、別に幾らでも見損なってくれ」
「おい、くそ、こらどさくさに紛れて乳を揉むんじゃ……あっ……」
「ほほう、随分成長したなぁ、こっちの方も……」
「あ、や……やめ……ろ……」

 九峪は藤那が大人しくなるまで乳を揉みまくり、崩れ落ちるように藤那が腰を下ろしたところで、真面目な顔で切り出した。
「まぁ、おっさんもあんまり責めないでやってくれよ。軍人として九洲を虐げようが、それを行うのは人ではなく国だ。帖佐にしたってそうだが、仕事だからってのもあるんだ……」
「そんな事で、納得しろというのか? この十五年、儂の目の前で幾度民が焼かれ、虐げられ、もてあそばれたことか! その無念を忘れろというか!!」

 伊雅の激高した叫びを九峪は涼しい顔で受け流す。
「でもさ、それって結局伊雅のおっさんの力が足りずに、狗根国にやられちまったのが悪いんだろ?」
「なっ……」

「民が嘆いているのは、そらしゃーないけど、支配者側で国を主導する側だったおっさんが、そいうこと言うのは頂けないな。あんたらは、狗根国が攻めてきたのを撃退出来なかった時点で王族としての責任は果たしていないだろ。その結果民が酷い目に遭わされたというなら、そいうのは他人に責任を押しつけるだけのみっともない行為になるんじゃないか? ようするに勝ってれば良かったんだから」

「ぐぅっ……」
「まぁ、心情は理解出来なくもないし、生き延びちまった以上、やるせなくて仕方ないのもわかるけどさ」
 九峪は神妙にそう言って、ぐったりしている藤那を見下ろす。

「藤那の場合は問題外だな。自分も同じような真似するところだったのに、雲母を悪く言う資格なんて何処にもないぞ。いや、自分の所の民を自分で傷つけてるんだからそれ以下か」
「……うぅ」

 九峪は大きくため息をつくと、清瑞の方を見る。
「お前はどう思う? 雲母を否定するか?」
 清瑞は暫く考えた後、首を振る。
「昔の事情は知らない。ただ、雲母さんは里の民を護って戦ってくれた。その恩義は返さなくてはならないと思う」

 娘の意外な言葉に伊雅は、目を丸くする。
 そして、その素直な言動に口元をゆるめた。
「そうだな……。少なくとも、儂も雲母という武人が民を傷つけたという事実は知らぬしな。まして、本人であるかなどわからぬし。正直、先の戦闘ではこの者と共に戦場に立ちたいとも思ったのも事実だ」
 そう言って優しい目で雲母を見る。
 雲母は僅かに頭を下げる。

「かたじけない。心遣い痛み入る」
「さて、それでは、次の行動だが……」

「――うう」
 九峪が話し始めようとした瞬間に、副官が呻いた。
「……う」
 身体を起こすと、焦点の合わない目で中空を見ている。




「……おはよう、案埜津」

 かけられた藤那の言葉に、副官は当惑顔で呟いた。


「藤那様……?」









 
追記:
 案埜津が登場。作者は案埜津にラブなんでしょうか。影が薄いのに使いたがって。始めは亜衣か星華にしようかと思ったけど、あの方々には別の役を押しつけることにしました。しかし、九峪がどんどんタダのエロ親父になっていく気がするのですが……。ま、まぁ、いいか。元々奴は親父趣味だしね。


 では、アトガキも早々に切り上げてweb拍手の方に。昨日コメントをくれたのは、一名様ですね。あ、ブログの方にもつけといたんで、良かったら押しちゃって下さい。お礼のコメントが一部ワケノワカランものもありますが華麗にスルーして下さい。

11:50 みんな面白いです。がんばって下さい
 と、頂きました。
 みんなおもしろい。マジデスカ?しかもこの方たくさん押してくれたようで、感謝感謝です。これからもご期待に添えるように死なない程度に頑張ります。ご愛顧宜しく~♪

 他にも押してくれた皆様ありがとうございます(ペコリ

 それでは、今日はこの辺でヾ( ̄◇ ̄)ノ)) バイバイ

【2006/02/28 15:23】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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