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出雲盛衰記17
 出雲盛衰記
 十七章



 阿祖北部にある小さな里。
 九峪の案内で伊雅達はその里にいた。
 なんでもこの里の長老が九峪に恩があるとかで、どこからどう見ても怪しい面々を素性も聞かずに受け入れてくれた。

「……さて、どうするつもりだ、九峪」

 人心地付いたところで雲母が問いただす。
 復興軍を出し抜いて九洲を手にする。
 目的は各人各様だが、全員が最終的に目指すべきはそこになる。

「言い出しっぺはお前なんだ。まさか何も考えていないって事はないだろう?」
 九峪はそんなことを言われるのは心外だ、とでも言いたそうな目を雲母に向ける。

「俺はあくまで戦をしたり国を作ったりする上で必要そうな人材にアテがあると言っただけで、戦争の仕方も国の作り方もはっきり分かってる訳じゃないさ。そう言うことなら雲母の方が詳しいだろ」
「まぁ、そうだろうが。その私が既に復興軍に一度敗れているという事実を忘れて欲しくないな」

「なんで負けたか分かってるなら、勝つ方法も思い浮かぶんじゃないのか?」
「そんな簡単に分かるなら苦労はないだろ」
 不機嫌そうにそっぽを向く雲母。

 九峪は拗ねた雲母は放っておいて、藤那の方に向き直る。
「じゃあ藤那。お前から見て復興軍の崩せそうな部分は?」
「崩せる部分か。人間関係はかなりごちゃごちゃしてるが、それでも宗像神社の関係者が強い影響力を持ってる以上、多少端々を切り崩そうとしても大勢に影響は無いだろうな」
「まぁ、藤那の話が確かなら、俺の人脈で火魅子候補や幹部から何人か引き抜きは出来るが、それくらいじゃ多分揺るがないって事か?」
 藤那は首肯する。

「むしろ嬉々として裏切り者と処分しに来るだろう。星華の馬鹿は状況が見えていないからな。自分の権力欲だけに酔って」
「そう言うヤツが上の立場の割りには、復興軍は上手く回ってますね」
 清瑞が不思議そうに呟く。

「ああ、それは亜衣という軍師と、天目とか言う変な女のせいだな。亜衣が後方で全体を見渡して、戦場では天目が鬼神の如き活躍をしている。正直天目が加わるまでとその前とでは復興軍の勢いが全然違うからな」
 変なヤツだけど、と藤那。

「その天目というのは、戦場で裸同然の格好で歩いてる変態のことか?」
 雲母がとげのある口調で問いただす。
 藤那は何も言わずに頷いた。

「ほう、やはりアレが天目か。私の部下もあいつにやられた」
 憎々しげに言いながら、視線は九峪の方を向いている。

「正直あの女がいる限り、正面から復興軍を打倒するのは難しいと思う。九洲奪還を目的として民を籠絡すれば兵自体は集まるだろうが」
 藤那はそう言って頭を振る。

「それは心配いらんのだが……」
 九峪が呟くと、藤那は意外そうな顔をする。
「なんだ、知り合いなのか?」
「いや、俺の嫁だし……」

 一瞬の沈黙。

「なにぃ~~~っ!! そんな話は聞いてないぞ九峪! 私とずっと一緒にいるというのは嘘か!?」
 藤那は叫ぶと九峪に掴みかかる。
「いや、別にいたければいればいいと思うんだけどな」
「貴様というヤツは、見損なったぞ」
 藤那は九峪とそれほど長い間一緒にいたわけではないので、九峪が浮気性だと言うことなど微塵も知らない。
 ちなみに藤那を七年前助けたときは、天目は一緒にいなかった。

「うほん、とにかく九峪殿の妻と言うことであれば、最終的にはこちらに加わってくれると言うことですな」
 伊雅がそう言って乱れた場を立て直す。
「ああ、多分な。もっとも俺の言うこと素直に聞いてくれるヤツでもないんで、その辺は調整が必要だけど」
 俺が死にそうになるだけで大丈夫だ、と九峪。

「復興軍の主力を殺げると言うなら、大打撃は与えられるな。だが、それだけで崩れるか?」
「駄目だろうな。狗根国にも少し頑張って貰わなくちゃ」
 九峪は何気なく言ったが、それには雲母以外が難色を示す。

「九洲の民が虐げられるような事態は避けたいが……」
 呻くように呟く伊雅。
「んなこと言ってもなぁ」
 九峪はぽりぽりと頭を掻く。

「まぁ、それならそれで何か策を考えて貰うしかねぇか」
「誰に?」

 清瑞が間髪入れずに問うと、九峪は偉そうに胸を張って答える。
「自分で考えろっつーの。俺は考えるの好きでも得意でも無いんだよ」
 全員大きくため息をつく。

「狗根国を利用すれば、策はあるというのか?」
 雲母が場を取りなすように聞くと、九峪は肩をすくめる。
「さぁね。ただ、天目が抜けたからって、軍を丸ごと持ってこれるわけでもないだろう? そうなったら俺たちが幾らかき集めたところで対抗出来ないくらいの兵力の差が残るだろう。それで最後の決戦みたいになっても、勝てるかどうか微妙だと思ったからさ。出来るだけ復興軍に苦戦して貰って、むしろ敗北してくれるくらいまで追いつめられてしまえばつけ込む隙も出来るってもんだ」

 九峪はぼりぼりと頭を掻くと立ち上がる。
「まぁ、細かいことは任せる。別に兵法に詳しくもない俺がごちゃごちゃ言ったところで詮無いだろ。伊雅のおっさんにしろ雲母にしろ戦争は専門の人材がいるんだからそっちの方はそっちで考えてくれ。取り敢えずここを拠点にしている限りは復興軍の連中にも見つからないからな」

「まて、何処に行く気だ?」
 貸し与えられた部屋から出て行こうとする九峪を雲母が引き留める。
「小便。一緒に来るか?」
 九峪はへらっと笑って見せる。
「……」
 雲母は黙ってそっぽを向いた。

 九峪はそれを確認して出て行く。
 それから暫く、残された四人はうんうん唸って知恵を絞っていたのだが、いつまで経っても九峪が帰ってこない。

 代わりに少女が一人顔を出した。
 村の娘という雰囲気ではない。雲母と清瑞が剣に手をかける。

「あ~、ここに九峪って馬鹿面した親父いる?」
 少女は開口一番、口汚くそう言う。
「九峪なら厠だが……」
 伊雅の言葉に少女は大きくため息をついた。

「はぁ、あのクソ親父」
「親父?」
 雲母が首を傾げる。

「アンタは確か狗根国の。ふ~ん、なんで耶麻台国の王族と仲良くしてるんだか。ま、どうでもいいや。九峪は私の正真正銘の父親。で、それがどうかした?」
「……九峪のヤツ、子供までいたのか……しかもこんな大きい」
 藤那があからさまに落ち込んでいる。

「で、私が狗根国のもので、それが王族といると何故分かる?」
 雲母は警戒を解いていない。
「知ってるから。アンタ、お母様にけちょんけちょんにやられたの見てたし。逃げていくのもね。で、母様の所には今兔音さんもいるし、火魅子候補の一人も私は知ってるし、その火魅子候補は伊雅っておっさんを討伐しに言ったはずで、ってこれ以上言う必要ある?」

 いや、と雲母。
「それで何しにここへ? この場所を知っていたことは娘だというのであれば不思議でもないが」
 伊雅の問いに、小夜は肩をすくめる。
「お母様にクソ親父の思惑を聞いて来いと命じられてね。まぁ、上手く逃げられたみたいだけど」

「逃げられた?」
「うん。間違いなく。気配しないもん」
 小夜はその場に座り込む。

「あ~あ、あの親父が逃げに入ったら探すだけ無駄だし、お母様になんと報告したものか……」
 頭を抱えて真剣に悩み出す小夜。
 一同は困ったようにその様子を眺めていた。



 一方その頃……

「やれやれ、天目も本気で俺を捜す気か? 今小夜なんかにあったら寸刻みにされちまう。もう少しこの自由を味わっておかんとな。さて、次は何処に向かうか……」

 九峪は荷物を背負い直し、足取りも軽く山の中を駆けだした。










追記:
 一週間以上前に半分だけ書いてて、続きを書こうとしたら何の話だったか思い出すのに苦労しましたよ。
 この分だと幻聴記とか手をつけ直すのが怖いですね。

 さて、前回からちらちら出てきてる娘の小夜ですが、別に活躍とかそんな話はありませんし、させる気も皆無。体よく脱走した九峪は何を考えているのやら。ふっふっふ、これからが盛衰記九峪の真骨頂、になればいいなぁと人事のように考えております。


 話は変わりますが現実問題として、対処すべき問題にちゃんと対処していると毎日ブログつけてる暇がございませんので、それをやってなかった二月分のツケが色々と凄いことになってます。で、先月はコンスタントに書いてたけど今月は多分ガタガタになりますが、寛容な精神で許して頂きたいと思います。何卒何卒……


 あ、web拍手は昨日はコメントありませんでした。叩いてくれた人にグラッツェ! 読んだらついでに叩いてくれると元気が出るので宜しくお願いしますm(_ _)m

 では、本日はこの辺でヾ( ̄◇ ̄)ノ)) バイバイ
【2006/03/10 19:30】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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