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出雲盛衰記19
 出雲盛衰記
 十九章



 ――気のせいか?
 伊万里は視線を感じて振り返る。
 そこには腕を組んで歩く上乃と九峪の姿がある。
 楽しそうに二人は会話をしているが、伊万里の方など全く見ていない。

 ――考え過ぎか。
 伊万里は前に向き直ると頭を振る。
 
 ぞわ……

 背筋に悪寒が走る。
 やはり見られているようだ。
 そう思ってまた振り返ってみてもやはり九峪はこちらを見ていない。

 上乃とのおしゃべりに夢中なようだ。
 九峪でなければ、視線は一体どこから?

「どうしました? 伊万里様」
 護衛部隊の隊長が伊万里の様子がおかしいことに気が付いて声をかける。
「いや、さっきから誰かに見られている気がして……」
「敵ですか?」
「分からない……」
「では、いったん小休止にして、周辺を探りましょう」
 
 隊長の言葉に伊万里は頷いてみせる。
 小休止と分かって、上乃と九峪は倒れた木に腰掛けて、肩を寄せ合ったままおしゃべりを続けている。
 わざとらしく上乃が胸を九峪の腕に押しつけているのが伊万里にも見えた。

 ――まったく、あいつは。

 上乃は自分の身体を手段として用いることに躊躇がない。自分の立場のために男を籠絡するのはよくやることだ。
 伊万里には到底真似出来ない行為だった。
 

 伊万里はそんな二人から視線を外すと周囲の警戒に移った。
 誰かは知らないが確実に見ているヤツがいる。
 もしかしたらそれは護衛兵の誰かかも知れないのだが、少なくとも二月は一緒に行動していて、そう言う視線を感じることは一度もなかった。
 考えられるとすれば九峪だけだったが、どうやらそれもなさそう。

 となれば完全な部外者と言うことになるだろう。

「伊万里様」
 隊長が水筒を差し出す。
「ありがとう」
 伊万里は受け取ると口を開けて傾けた。

「!! え?!」

 一瞬だった。
 確かに水筒の水を飲もうとしていたのに、水筒が一瞬で消えた。

 狼狽しながら何処に行ったのか周りを見回す。
「ん~、こりゃあれだな。ヒ素だ……」
 九峪がいつの間にか伊万里の隣でしゃがみ込み、水筒を傾けている。
「え? え?」

 唐突な状況に慌てて上乃の方を見る。
 上乃も突然九峪が消えて狼狽していた。
 そんな二人を無視して九峪は隊長の方を見る。

「なぁ、お前。こんなもんでどうするつもりだったんだ?」
 狼狽している隊長。
「ぐ……、それはこっちのセリフだ。そんな毒で伊万里様を……」
「毒?」
 伊万里が首を傾げる。
 しまったと自分の口を塞いで慌てる隊長。

「くっくっく、語るに落ちる以下だなお前。毒ってなんで毒だって知ってんだよ。おまえヒ素なんて知らねぇだろ」
 九峪は言いながら平然とそれを飲んでいる。
「な、なぜ……」
「あ? これには入ってねぇよ。お前の持ってるそれだ」
「え?」

 隊長は自分の手にもつ水筒を取り落とす。
「九峪……どういう事だ?」
「どうもこうも、な」
 不思議そうにしている伊万里の表情が変わる。
 護衛兵達が一斉に剣を抜き、殺気を向けてくる。

「な、お前等どういうつもりだ!」
 伊万里は剣を引き抜いて構える。

 隊長は伊万里の言葉など聞かずに九峪の方を睨んでいる。
「貴様、一体いつ気が付いた」
「はじめから」
 九峪はこともなげに言う。

「九峪? これって……」
 上乃が護衛兵を牽制しながら伊万里と上乃の元まで来る。
「ん、察しが悪いな。決まってるだろ。伊万里を殺して火魅子候補を一人減らそうって、どこぞのお偉いさんが考えてたって話だ。多分、都合良く現れた怪しい俺を犯人に仕立て上げるつもりだったんだろうな」
「伊万里を! 一体誰が!」

 上乃は憤然として護衛兵達を睨み付けたが、伊万里は複雑そうな顔だった。
「そんな、それじゃこれまで色々面倒を見てくれてたのは、全部縁起だったのか!」
 隊長は泣きそうな顔で叫ぶ伊万里に鼻で笑ってみせる。
「馬鹿かお前。お前のような芋臭い山猿が、火魅子候補など勘違いも大概にしておけ!」

「!!」
 絶句する伊万里。
「なんてこと言うんだ! お前等全員死んじまえっ!」
 上乃はものすごい形相で手近な一人に斬りかかる。

 それが合図となった。包囲をしていた護衛兵達が一斉に三人に襲いかかる。
「勘違い……なのかね」
 九峪はその修羅場でつまらなそうに剣をかわしている。
「何がだ」
 独白に返事を返したのは隊長。

 九峪の隊長の視線が空中でぶつかる。
「ま、いろいろ。お前等が俺たちを殺せると思っているとすれば勘違いだし、結局火魅子候補殺しに関わったお前等を、命じた誰かさんが生かしておくと思ってるならそれも勘違いだし、なにより自分の娘くらいの女の子に平気で剣を向けてそれに大義があるなんて妄想出来るならそれこそ救いようのない勘違い」

「我らは命じられたことをこなすだけだ」
 そう言った隊長の視界から、九峪が消える。
「哀れだな。だが、容赦はしない」
 声は背後から。

 隊長は、振り返る暇など与えられなかった。

 その首に、己の剣を突き立てられ気が付いたときには血が勢いよく噴き出している。

「ば、か……な……」

 消えゆく意識の端で、悲しそうに自分を見下ろしている九峪の顔が見えていた。







追記:
 短い……。短いですね。けどまぁ、こんなもんで十九章は終わりにしておきました。本当はこの後の展開と併せて一章分なんだろうけど、書いてる時間無かったのでご勘弁を。上乃と伊万里を喰う(?)話は次回に持ち越しと言うことで(本当か?


 さて、なんだか久しぶりの更新のようでそうでもないですね。
 出来れば昨日出したかったんですが、土日にハッスルしすぎて(編年紀の執筆をネ)筆疲れっぽいんです。ちなみに二十五章くらいまで書きました。表と裏で分けるかも知れないので、まぁ二十五という数字では無くなるかも知れませんが。

 では、大量にあるweb拍手のお返事をば。
 まずは11日分ですね。特定一名からの大量コメントが……。

0:08 毎日来てると更新されず、ちょっと来ないと更新される…合わないのかのぅ。
0:09 とりあえず「話し」の「し」は要らないかもですよーっと。しかし面白そうな展開になってきましたなー
0:10 藤那の嫉妬でデッドエンド。小夜と出会うとデッドエンド。天目と志野の争奪戦でデッドエンド。
0:11 星華怒らせてデッドエンド。亜衣怒らせて以下略。キョウのジャマしてデッドエンド。
0:12 ついでに上乃自身が死亡フラグ。他にもいろんな理由で死者続出死体だらけの予感…
0:13 …あぁでも死んでも平気なのかぁ…じゃあ問題ないーね~
 と頂きました。
 長っ! 思わずディスプレイに全力でツッコミを入れてしまいましたよ、本当に。で、更新はランダムなので確かに作者と合わない人はそう言うこともあるかも知れませんね。昨日見に来てて、今日当たりとか見てなかったりして……。
 話しのし。あ、ご指摘ありがとうございます。これ書いたら直しとかなきゃ……。
 ……その後のコメントはナンデショウカ? 要望? 予測? ちなみにデッドエンドはありませんから。徒然草とか幻聴記はデッドエンドにしてやろうかと何度か考えましたけどね(ぉぃ 上乃自身が死亡フラグって、殺しすぎの作者が同じように殺すと思ったら大間違いですよ。多分……きっと……いや、怪しいか……。盛衰記はあまり死体を量産しないつもりです。少なくとも名前が付いてる人は……。
 最後のコメントは九峪限定ですが、早々殺されては味気ないので時々死んで貰うという事に。九峪に関しては何の問題も無いのでこれからも積極的に死んでくれるでしょう(ぇ

 コメントありがとうございましたm(_ _)m

 では次のコメント。

0:58 上乃の誘惑? ……逆に篭絡されてしまいそうな気がするのは気のせいですかそうですか(w
 と頂きました。コメントありがとうございます。
 いえいえ分かりませんよ。上乃の奥義が炸裂して九峪が狗のようになってしまうかも……(どんな展開だよっ 今回書くつもりだったけど次回に持ち越してしまって申し訳ないです。と言うことで次をお楽しみに。

 さて、まだあるぞ~。次のコメント。

19:27 志野の話は残念ですが、伊万里と上乃の登場は嬉しいです。九峪は行き当たりばったりな感じですけど(笑
 と頂きました。
 志野は遠からず書こうと思ってますが、この先の展開が作者的にもカオスなので何とも言えませんね。伊万里と上乃は出来るだけギリギリまで(何をだ?w)頑張って貰おうかと思ってますけど……。グダグダならないように気をつけますね。ちなみに行き当たりばったりなのは九峪じゃなくて作者ですね。大抵その日考えることが多いので、今後も行き当たりばったりです。
 コメントありがとうございました。

 ようやく11日分最後のコメント。

23:09 面白いので毎日5話位アップして頂きたいですなぁ。 気が向いたらよろしゅうに^^
 と頂きました。
 無理です! 死にます! 五話って……。まだ盛衰記は分量少なく書いてるからアレですけど、それでも五話は死にます! それを実行するには精神と時の部屋かドラ○もんかリアルマネーが必須です。まぁ、一年間休んでいいならその後に、毎日五話upで半年くらいの連載は不可能では無いかも知れませんが……いや、無理かな。おそらく過労死します。
 まぁ、何か脳内にお告げでも来たら、二話くらいはupしないとも言えませんので、その時を楽しみにしていて下さい。

 さて、次に12日分ですね。この日は一件ですな。

11:53 押したんで頑張って続きを カ・イ・テ(はぁと
 と頂きました。
 え~と、はい。頑張らせて頂きましょう! もちろんですよそんなもん。ていうか、現在進行形でがんばってるわけです。まぁ、編年紀ばっかり書いてたので、こっちの更新が滞ってたとかそんな話しもあるんですが、だからって更新スピードが速くなるわけでもなかったりして。見直しに殆ど時間書けない駄目人間ですけど、そう言うのもあるし……。
 あ、言い訳してしまいましたね。精進致します。

 昨日はコメントは無かったようですが、気合い入れて連打してくれた人はいたようですね。ありがとうございます。押してくれた人全員に作者の身体を捧げてもいいくらいの気分ですが、多分誰もいらないと思うので自粛しておきます。


 では今日はこの辺でヾ( ̄◇ ̄)ノ)) バイバイ

 

【2006/03/14 22:09】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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