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出雲盛衰記20
 出雲盛衰記
 二十章



 ――どうなってるんだ、一体!

 下草の影から離れた場所で襲われている少女達を見て、少年は慌てた。

 ――ようやく見つけたと思ったら、なんで上乃と伊万里が襲われてるんだよ。

 少年は舌打ちしながらも背負っていた弓と矢を持ち出し、背後から二人を襲っていた護衛兵を射る。
 場所を悟らせないように、動き回りながら援護を続けた。


 戦いは僅か十五分ほどで終わった。

「上乃、九峪、怪我は無いか?」
 伊万里の言葉に二人は頷く。九峪に至っては返り血すら浴びていない。
「それと……」
 三人の視線は一本の大きな栗の木に定まっている。

「……出てきたら? 仁清」
 三人とも戦闘中に当然気づいていた。
 矢のささった死体がいくつもあるし、気が付かない方がおかしいだろう。

「出てこないなら、引っ張り出してやるぞ」
 そう言って伊万里が歩き始めると、渋々少年が姿を現した。

「やっぱり仁清だ」
 上乃は呆れたように呟いた。
「何しに来たの、あんた」
 仁清はそっぽを向きながら答える。

「何しにって、二人を助けに……」
「ずっと付いてきてたの?」
「違うよ。長老が行けっていうから仕方なく」

「視線はお前のか……」
 伊万里は納得したようでため息をつくとその場に座り込む。

「でも、一体なんなの? どうして伊万里が襲われなくちゃならないんだよ。それも、味方に……」
 状況の飲み込めていない仁清。
「――きっと星華さんだ。星華さんが私の事が気に入らなくなったんだと思う」

「そんな! 伊万里は別に何もして無いじゃないか」
「……関係ないんだろう。多分私をこのままこの任につけておけば、山人連中に強いコネが出来ると危惧したんじゃないかな。復興軍は飛ぶ鳥を落とす勢いで成長しているし、今更私がいなくなっても求心力には困らないから」

 仁清は愕然とする。
「もう、伊万里は必要ないって……そう言うこと?」
「……うん」
「そんな」

 仁清もその場に座り込んでしまった。
「でも、さ。なにか手柄持っていけば、星華様も考え直してくれるんじゃない? 伊万里がいないと困るって思わせれば」
「手柄か。それじゃ火に油を注ぐようなものだと思うよ」
「じゃあ、私たち、どうしたら……」
 もり立て役の上乃すら落ち込んでしまう。

「とにかく、一度川辺に戻ってこのことを問いただそう。最悪殺されることになるかも知れないけど、このまま逃げたら父上達にまで迷惑がかかるかも知れない」
 伊万里は辛そうに笑顔を浮かべて、そう決断する。

「止めておけ」

 止めたのは九峪だ。
「九峪さんには関係ないでしょう?」
「無いけどそれがどうかしたか? 死ぬって分かってるなら、引き留めるのが人情だろ」
「放っといて下さい。これは私たちの問題です」
 伊万里は九峪を無視して行こうとする。

「まぁ、別にいいけどさ。行くなら一人で行けよ」
 三人とも九峪の方を見る。
「そんなこと。私も付いていくよ」
「俺も」
 仁清も上乃も当然の用に言う。

「伊万里、これだけ信頼してくれてる奴ら、犬死にさせていいのか?」
「……どうしろって言うんですか?」
「簡単だよ。無かったことにすればいい」
「え?」
 仁清も上乃も当惑している。

「今回のこの襲撃自体、存在しなかったことにすれば、別に川辺に戻っても大丈夫だろう? 例えば、魔獣五匹に襲われて命からがら護衛兵を置いて逃げてきました、とかな。護衛兵は職務を全うして討ち死に。この時期に川辺から往復することを考えれば、死体は腐って確認しに来たときはそれが刀傷なのか噛まれた傷なのか分からなくなってるだろうし」
「そんな。でも、それじゃ何の解決にも……」

「ならんだろうな。だが、護衛兵を餌にして逃げてきたと言えば、伊万里の評判はガタ落ちになる。仕掛けて来た奴も殺してその疑惑を自分に掛けられることよりも、あからさまに自分より劣っている火魅子候補がそばにいた方が都合もいいはずだ。違うか?」
「それは……」

「でも、それだと伊万里が虐められちゃうよ、九峪」
「そうだな。多分散々こき下ろされるだろう。そうやらせればいい。そしたらそこで伊万里は自分が火魅子候補としてふさわしくない事を自分から申し出て、里に引っ込むと言えばいい。誰も止めないだろう」
「……そう、ですね」

「選ぶのは伊万里だ。火魅子候補として見栄を維持するために、優しいお友達と一緒に死ぬか、それとも恥を被って生き続けるか」
 伊万里はうつむいてしまう。
「少し、考えさせて下さい……」
 それだけ、ぽつりと呟いて。



 満月は二日前。
 月は煌々と輝いている。
「九峪。九峪は伊万里の味方なの?」
「ん~、どうかな」
「……味方に、なってあげてよ」

 甘えるような上乃の声。
 九峪はこそばゆいなと思いながら、その腕は腰にまわしている。
 身体を抱き寄せると、上乃は自分から口づけを求めてくる。

「ん、あむ、はむ」
 激しく絡まり合う二人の舌。
 九峪はそのまま上乃の身体を横たえ、革製の服の胸元を止めていた紐をゆるめる。

 上乃はそこで身体を離すと、九峪を見上げながら言った。
「駄目。これ以上するなら、ちゃんと約束し――あん、駄目だったら」
「軽々しく約束するなんて言われたって、信じられないだろ? だから先に俺が信用に足る人間だと身体に教えてやるから」
「な、何なのその理屈は! いいから、先に……ああっ」

 九峪の手が背筋を這うと、その感触に上乃は身をよじる。
「敏感だな」
「もう、馬鹿」
 上乃はそう言いながら、九峪の股間に手を伸ばした。
「そっちだって、もうこんなにして。……窮屈そう。出してあげるね♪」

 上乃はそう言って悪戯っぽく笑う。

(中略

「はあ、はあ、はあ、九峪、凄いよ。こんなの私……」
「……これで少しは信用できるか?」
「うん、もう最高」
 上乃は話を聞いていない。

 九峪はやれやれと思いながら、自分の服の上で寝転がる上乃の肌にそっと触れる。
「あ、何……。まだするの?」
 期待するような目を向ける上乃。
「ん~、何を?」
「ナニかな?」
 淫猥な笑みを浮かべる上乃。

 九峪は少しばかり疲れたようにため息をつく。
「あれ? 九峪も歳だからもう駄目なの?」
「そんなんじゃ無くてだな……」
 言いながら上乃の敏感な所をまさぐる。
「あ、ん……。そんな事したら溢れちゃうよ」
「さっきからお友達が混ざりたそうにしてるから、どうしたものかと」
「え?」

 上乃はそう言われて辺りを見回す。
 風が吹き、長い髪が木陰からはみ出している。
「伊万里」
 上乃が呟くと伊万里は顔を赤らめて出てきた。

「いつからいたの?」
「割と始めからだな」
 伊万里の代わりに九峪が答える。
「混ざりたいなら言ってくれればいいのに」

「誰がだっ! 人の気も知らないでこんな、こんな事……」
 どうやら、伊万里の顔が赤いのは怒っているためらしい。
「……ごめん、伊万里」
 上乃はしゅんとして俯いてしまう。

「でも、九峪なら伊万里のこと、なんとか出来るんじゃないかなって思って。本当は、もっといい方法も知ってるんじゃないかなって。だからそれを聞き出そうと思って」
「上乃……」
 伊万里はそう言われてしまうと二の句が継げなくなる。
「でも、九峪あんまり上手いから、途中から目的すり替わってたけどね♪」
 テヘ♪ と笑ってごまかす上乃。
 またもやぶち壊し。

 伊万里は怒っていたのも馬鹿らしくなって、用件だけを告げる。
「九峪。私は恥を被って生きていくなんて、きっと出来ない。それに演技もあまり得意じゃない。きっと川辺に戻ればぼろが出る。そうすれば結局同じ事だ。だから、私は起こったことをありのまま言いに行くよ。それで、少しでも復興軍が変わればいいと思う」

「そうか。ふっふっふ」
「何笑ってるの?」
「いや、嬉しいこと言ってくれるなと思ってさ。少しでも変わってくれればいいと、そのために命を捨てることを厭わないか。いやいや、なかなか出来た火魅子候補様だな」
「その呼び方、もう意味がないから止めてくれ」

 九峪は首を振る。
「いや、正直味方の寝首を掻くことしか頭にない、星華とか言うのに比べたら、伊万里は立派に火魅子候補だよ。例え血筋じゃなくともな」
「え?」
「火魅子候補だなんて言ってるが、そんなもん真っ赤な嘘。神器の精が耶麻台国を復興させるためにでっち上げたもんだよ。始めから伊万里は王族なんかじゃない。もちろん、星華もな」

「なんで……、そんなこと」

 九峪は盛大にはしょって事情を話す。

「じゃあ、本当の王族を九峪は支援してるの?」
「そう言うこと。どうだ? お前等もこっちに加わらないか? どのみち、このままじゃお前等に居場所はないんだしな」
 九峪はそう言って笑みを浮かべる。

「でも、なんで始めからその話をしなかったの?」
「確かに」
 少し怒っているような二人。
「……生きていくことだけなら、伊万里の選ばなかった道もある。俺と来ると言うことは戦争するってこと。この状況で死を選べない人間なんて連れて行っても役に立ちゃしないだろ?」
 当然のように告げる九峪。

「意地悪だね……九峪」
「ああ、意地悪だ」
 少女二人は、拗ねたように呟いていた。




 ☆オマケ☆


 上乃の痴態を眺めながら、一人息を荒くしている仁清。
「上乃~、なんでそんな男と……」
 言いながらもなま暖かく見守っている。

「楽しそうね……」
 耳元で声が。
 慌てて振り返る仁清。
「フフ、可愛い。あなたの相手はこの私が……」
「ほうっ!」

 ぱっくり銜えられて、腰が引ける仁清。
 声の主は、楽しそうにその反応を見ながら微笑んだ。











追記:
 いちはちきん、はセーフですね。別にやらしいことは何もしてませんもん。……そう言い張っておきます。中略にしないでちゃんと書いたらもろに引っかかるわけですが、いつか盛衰記が完結したら十三階段の方に少し直して置くつもりなので、その時には変わってるかも。
 って言うかですね、二十章なわけですよ。二十章記念。記念でえろえろ化もアリだったわけですが、無しの方向で。
 最近会議書いてないわけで、そろそろブログのタイトルの存在意義が薄れてきてますね。たまには書くかな。明日辺り……。

 さて、では本日もweb拍手へのお返事を! 昨日は一件でございます。

18:28 ゴミ箱だなんてとんでもない。宝の山ですよ

 と、頂きました。
 ゴミ箱の由来は、続編書く気もなくてただ置いてあるからゴミ箱なわけで、内容がどうこうという話では無いのですが。そんなこというと、また続編書かないつもりか、このド外道がぁ~とか言われそうですね。まぁ、連載予備軍というかそんな感じなのですよ。
 ともかくお褒め頂いてありがとうございました(ペコリ

 他にも押してくれた人全員にありがとうを!

 では、本日はこの辺でヾ( ̄◇ ̄)ノ)) バイバ~イ
【2006/03/15 18:30】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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