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出雲盛衰記21
 出雲盛衰記
 二十一章



 夜明けと共に起き出した九峪。
 隣で寝息を立てている少女を見る。

 ――またやっちまったなぁ。

 あきらめにも似た感情。
 浮気をするのは一体何人目か。孕ませた女の数は数え切れない。

「3Pは久しぶりだったな……」
 反対側を見ると、黒髪の少女もまたすやすやと寝息を立てている。

「こればっかりはやめられんな」
 しまりの無い顔で言うと、着替えて荷物をまとめ始める。
「さて、では起きないうちにずらかるか」

 昨夜(今朝とも言う)のうちに、伊万里達が向かうべき場所は教えている。九峪としては長居は無用。
 火魅子候補一人を籠絡出来たのだからこの場にこれ以上いる意味もない。基本的に九峪はヤリ逃げ魔である。

 二人が起きないようにそっと抜け出すと、その場から走り去る。
「ふう、あの二人なかなか可愛かったし、また縁があればいいけどな」
「そうねぇ。随分激しかったものねぇ」
 九峪は耳元で囁かれた声に立ち止まる。

 振り返ると、そこにはこの季節に何を勘違いしたのか、随分と暑苦しそうな格好をした女がいた。
 その手には乾涸らびた仁清が……。

「……仁清。大丈夫か?」
「……」
 完全に沈黙している。
「で、あんた誰だ?」

 九峪はどうしたものかと女を見る。

「私? 私は寝太郎って呼ばれてるわ」
「なんだか男みたいな名前だな」
「ええ、男だもの」

 九峪は首を傾げる。寝太郎はどこからどう見ても女だ。

「本当か?」
「疑うなら試してみる」
 寝太郎はそう言ってすり寄ってくる。
「いや、いい。まぁ、誰でもいいけど、俺は行くから」
「あら、私も一緒に行くわ」
「なんでだよ……」

「あなたがいいオトコだ・か・ら」
「仁清はどうするつもりだ?」
「三人で楽しみましょう。ね?」
 九峪はなるほどと頷くと、時を止め寝太郎の死角に回り込んで姿を隠す。

 ――冗談じゃねぇ。本当に男だったらさすがの俺も管轄外だ。

 九峪は隠れたまま様子をうかがう。
 寝太郎は目の前から唐突に九峪が消えたので、おどろいて辺りを見回している。

「ん~、逃げられちゃったかしらん?」
 寝太郎は懐から人型に切り抜かれた紙を取り出すと、なにやらまじないを掛ける。

 紙は発光すると九峪が隠れた場所に、風に吹かれたように飛んでいく。

 九峪の目の前に紙人形が落ちた。

 閃光、爆発

「あら、そんな近くにいたのね」
 寝太郎は楽しそうに笑って爆発のあった場所に向かう。

「いない……」
 そこには人間がいたら挽肉になってただろう爆発痕だけが残されていた。

「おかしいわね。私の腕もなまったかしら」
 寝太郎はそんな事を言いながら歩き始めた。



 少しだけ離れた場所。
 爆発の直前に九峪は再度時を止め、離脱していた。

 ――方術士? 式神使い? 何にしても厄介な奴に目を付けられちまったもんだな。

 九峪は寝太郎が十分に離れた事を確認するとため息を吐く。

 ――仁清は連れて行かれたか。合掌……

 助けようとは考えない九峪だった。

 それから暫くして爆音を聞きつけて上乃と伊万里がやって来た。
 逃げようかと思っていたが、その前に寝太郎の事を知っているか聞き出す事にした九峪。

「九峪さん、これは一体」
「仁清もいないし……」

 二人に詰め寄られて、九峪は事情を話す。
 寝太郎の名前が出ると伊万里と上乃は顔を強ばらせた。

「寝太郎様が……。どうしよう」
「なんだ?」
「復興軍に協力してくれている仙人なんです。それに仁清が連れて行かれたなんて……」
 九峪は事情を飲み込む。

 てっきりオトコノコ好きで連れて行ったのかと思った九峪だったが、違ったらしい。
「でも、どうすれば?」
「取り戻しに行こう。見捨てるわけにはいかない」
「そうだね」

 意気込んで向かおうとする二人。
「止めとけ。仙人様は復興軍を支援してるんだろ? 多分昨日の俺たちの会話も聞かれてる。既に復興軍は敵だぜ?」
「でも、このままじゃ仁清が……」

「俺が何とかする。だからお前等は先に伊雅のおっさんのとこに言ってくれ。そっちのも遠からず手が回るだろうからな」
「……できるの?」
「お前等がやるよりは上手くやるさ。だてに歳くってないんだよ、俺も」

 九峪はそう言うことでと歩き始める。
「九峪さん……。仁清を頼みます」
 深々と頭を下げる伊万里。
「たのんだよ! 九峪」
 泣きそうな顔で頼む上乃。

 九峪は振り返らずに手を上げて答えた。



 ――意識が、朦朧とする。

「ほらほら、私が回復してあげたからまだイケるでしょう?」

 目の前にいる限りなく女に近い身体の男。
 何をされているのか、何をしているのかはっきりしない。

 ここが何処なのかも、今が朝なのか夜なのかも分からない。

「う~ん、少し刺激が強すぎたかしらね。馬鹿になっちゃってるみたい」

 快楽が、身体の一点から全身に広がる。
 頭がしびれて、何も考えられない。

「ん、身体は反応してるし、まぁいいか」

 何かを搾り取られるような感覚。
 疲労が襲いかかり、意識が遠のく。



 どさり



 仁清は倒れた。
 寝太郎は口元を拭うと、倒れた仁清に口づけて気を送り込む。

「う、うう」

 青ざめていた仁清の肌に生気が戻る。

「そんなんで楽しいか?」

 寝太郎は上から振ってきた声に、笑みを向ける。
「楽しいわよ。何遍だって楽しめるもの」

 木の上でしゃがんでいる九峪は、裸の寝太郎を見てため息を吐く。
「なんつーか、本当に男なんだな」
「あら、女なんかと一緒にしないでよ」

 不満そうに口をとがらせる寝太郎。
 九峪はどう見ても男な身体と、女の顔に妙な感覚に陥る。

 ――だまし絵でも見ているみたいだな。

「ま、いいや。仁清返してくれよ。お前さん復興軍の者なんだろ。九洲の民に酷い仕打ちはするもんじゃないぜ」
「そうかしら? 裏切り者はそれ相応の処分が当然だと思うけれどね。それに楽しませてあげているのに、まるで拷問しているみたいな言い方は酷いわ」
「拷問だろ、立派な……」
 九峪は木の上から飛び降りると仁清を抱え上げる。

「まぁ、よこさないというなら盗っていくだけだ」
「まぁ、待ちなさいよ。条件次第じゃ、あなたに付いてもいいのよ、私」
 婉然と微笑む寝太郎。
「条件ね。俺の身体っつーならお断りだぞ」
「やぁね、本当はあんたみたいなおっさん好みじゃないわ。私が好きなのは可愛いオトコノコ」
 そう言って胸を張る寝太郎。

「ああ、そうか。俺は女なら大概好きだがね。で、じゃあ他に何かあるのか?」
 寝太郎は頷く。

「私は竜宮から乙姫の――ああ、乙姫って言うのは耶麻台国の開祖姫御子の親戚ね。その乙姫から復興軍を支援するように言われてやって来たの。表向きはね」
「ほう」
「本当の目的は九洲に隠されている姫御子の宝剣なのよ。七支刀って言ってね、普通の人間じゃ持つことも出来ないもの何だけど……。このまま復興軍にいてよしんば見つかったとしても、持ち出すなんてとても出来そうにないし。どう? あなた達の方に味方する代わりに、九洲を征服したらその剣を私に譲ってくれないかしら?」

 九峪は宙を見上げて暫く考える。
「七支刀……ね。まぁ、多分そんなもんは復興しちまえばいらないだろうから、別にいいよ。でも何処にあるか分かってるのか?」
「分かってたら苦労しないわよ。そっちこそ心当たり無いの?」
 九峪は七支刀のイメージが掴めず首を捻る。

「どんなのだよ」
「ええとね、聞いた話だと七つに枝分かれした剣よ。こう、鉤型の……」
 寝太郎は地面に大雑把な絵を描く。
「ん?」
 九峪は記憶の角に引っかかるものを感じる。

「どうしたの? まさか知ってるの?!」
「いや、多分気のせいだろ。まぁ、そんな条件でいいならこっちは気にしないけど、本当にそれだけでいいのか?」
「できればそちらにいる、可愛いオトコノコをまわしてくれると嬉しいわ」
 涎を垂らしながら要求してくる寝太郎。

 九峪はコイツ本当に仙人か? と思いつつも一応了承する。
「ふふ、じゃあ仁清君は私が責任を持って送り届けるわ……。うふふふ」
「これ以上使い物にならなくなるような真似するなよ」
「大丈夫よ。壊れちゃったら遊べなくなっちゃうから、手加減は心得ているわ」

 九峪はなるほどと納得して仁清を譲渡する。

「では、契約成立ね」
「で、このまま里に向かうとあからさまに裏切りがばれるがいいのか?」
「構わないわよ。言い訳なんて幾らでもきくしね。もし、どうしようもないと分かったら寝返ればいいだけですもの」
「こちらが有益な間は味方か」
「そう言うこと。それともそれじゃ気に入らない?」

 九峪は肩をすくめる。
「わかりやすくていい。ああ、一つだけ言っておくとな……」
 付け足すように九峪は言う。

「嘗めた真似したら寸刻みにして豚の餌にするから覚悟しとけよ」

 何気なく発した一言。

 寝太郎は全身を悪寒が走るのを感じた。

「わかった……わ」
「じゃ、頼んだ」
 九峪はそう言って、次の瞬間には消えていた。




 ☆オマケ☆



「九峪だったら寝太郎様も籠絡出来そうだよね~」
「そ、そうか?」
「そうだよ。なんかすんごい熟練してるし。きっと性別なんて関係ないよ」
「……確かに、そんな気もするけど」
「伊万里、昨日はものすごい乱れてたもんね~。気持ちよかった?」
「ば、馬鹿。そもそもお前等が無理矢理私のことを!」
「え~、喜んでたくせに~。伊万里や~らし」
「おい、上乃!」
「アハハハ、『アアン、九峪さん私もう駄目ぇ、もう、もう壊れちゃう~』」
 伊万里の声真似をして、身をくねらせる上乃。

 こいつら、本当に仁清が心配なのだろうか? かなり怪しい一幕であった。

 ちなみに、この後寝太郎が合流したため、九峪が男もいけるという噂が広まることになるが、それはまた別のお話。












 
追記:
 仁清が哀れで涙が出てきます。どんなプレイをしていたのかはご想像にお任せします。むしろ想像もしたくないですね。ノーマルな方にはかなりお目汚しだったと思います。まぁ、実際は寝太郎女体化も考えたんですが、オカマを取ったら何も残りませんからねぇ、寝太郎。
 ともかく九峪の復興軍籠絡大作戦(?)は着々と進行中です。伊万里編に四章つかいましたが、もう少し短くならんかな。さ~て、次の獲物はだーれかな~。その前に伊雅や雲母の方の話を入れるかどうするか。次回をお楽しみに~。


 明日忙しいのでフライングでまた出させて頂きます。で、本日分、web拍手のコメントはございませんでした。ただ何故か下手にコメントがある日よりもたくさん押されていました。押してくれた人アリガトォォ~!

 では本日は(って本日じゃないけど)この辺でヾ( ̄◇ ̄)ノ)) バイバイ
【2006/03/17 00:00】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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