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出雲盛衰記01
 出雲盛衰記
 一章 忌瀬



「まいったなぁ~。完全に迷った」
 九峪は一人山の中で途方に暮れていた。
「これで何回目だ?ま、その内天目が見つけるだろ」
 楽観的に呟くと、道も分からないのにまっすぐに進む。


 十五分後……

「……またか」
 九峪は森の中で倒れている人間を見つけて、呆れたように呟いた。
 【また】と言えるだけ行き倒れに慣れているのか、倒れている女の傍らに膝をついた。
「お~い、生きてるかぁ?」
「……」
 無反応。
「ま、だろうね」
 くねくねと曲がった癖毛。荷物から薬師だと分かる。薬師とは薬草などを採って回って、怪我人を直したりして生計を立てている人たちのことだ。
「おい、起きろ忌瀬。乳揉むぞ」
 知り合いだったのか、九峪は女の頬をぺちぺちと叩く。
「ん、う~ん」
 忌瀬は身じろぎしながら僅かに瞳を開いた。
 九峪は起きたことを確認すると、持っていた怪しい丸薬を、忌瀬の口に放り込み、水筒を口の中にねじ込んで無理矢理飲ませる。

「―――っごほ!げほ、ごほっ!」

 思い切りむせてたたき起こされる忌瀬。九峪は水筒をしまうと忌瀬の頬を二度、三度と叩く。

「い、痛い!ちょ、も、もう起きてるから!ぶふっ!」
「本当か?」

 九峪が満面の笑みでもう一度叩こうとしたのを必死にかわす。

「九峪!あんた私を亡き者にする気なの?」
「んな分けないだろ。また、助けてやったんだから」
「あれ?そう言えば、また?」

 忌瀬はそう言って頭をぽりぽりと掻く。
 周囲を見回して自分の状況を把握すると、にんまりと九峪に笑いかける。

「あはは、またのたれ死にするところだったね。ありがと、九峪」
「命の恩人に随分軽いな。何回目だよ、これで」
「えっとぉ~、確か十二回目くらい?」

 あっけらかんと言う忌瀬に、九峪は疲れたように肩を落とした。

「なぜ、方々適当に歩いているもの同士がこうやって何度も面を付き合わせることになるんだろうなぁ。不思議だ。一年に一度は会ってるよな?しかも毎回に行き倒れてやがるし」
「なぜか行き倒れると、必ず九峪が助けてくれるんだよね。私の方が不思議。別に好きで倒れてるワケじゃないんだけどなぁ」
「年に一回は行き倒れるって、お前やっぱり旅人としての才能に欠けてるんじゃないのか?」
「余計なお世話よ」
「で、九洲に何のようだ?この前は半島だったろ?」
「えっとね、曼荼羅華を取りに」
「ああ、なるほど。麻酔が入り用なのか?」
「ちょっと治療にね。丁度良かった、天目もいないみたいだし、手伝ってよ」
「仕方ねぇな」
「んふふ、ところで今私に飲ませたのって何?」
「ああ、超強力な滋養強壮剤みたいなもんかな。常人が飲むと丸一日は走り回りたくなるような強力な奴。今の忌瀬になら普通に戻るくらいですむだろうな」
「はぐらかした言い方しないでちゃんと教えなさいよ。それともヤバイものなの?」
「ん、ある意味」
「今度教えてね」
「気が向いたらな」
 忌瀬は九峪のやる気のない言葉に、頬を膨らましながら歩き始めた。



 二人の出会いは今からもう十年以上も前になる。
 当時は他の薬師の元で一緒に各地を旅していた忌瀬だったが、山中で魔獣に襲われ、逃げ出したものの保護者だった薬師とはぐれてしまって行き倒れになっているところを、天目を連れた九峪に拾われたのだ。
 二月ほど一緒に旅をしていたが、九峪の旅は色々と物騒だったので、忌瀬を知り合いの薬師に任せてそこで別れた。
 お互い漂泊の身の上、どこかでまた会うこともあるだろうとは予想していた九峪だったが、まさか年に一度も会う事になるとは思っていなかった。
 そして毎度の如く行き倒れ。
 九峪が、またかと言いたくなるのももっともなことだった。
「小夜ちゃんと桂くんは元気?」
「年を追う毎に生意気になってきてなぁ。誰に似たんだろう、本当に……」
 尾根づたいにある気ながら、世間話に興じる二人。
 話は子供の方へ。
「誰って、天目に決まってるじゃない。あの性格と趣味の悪い女の影響でしょう。だから、あんなの捨てて私と一緒になろうよ。教育的にもその方がいいって」
「お前に似たら、更に厄介になりそうだと思うのは俺だけか?」
「何それ?」
「痛てぇ!つねるな」
 忌瀬は顔をしかめて九峪から離れると、急に立ち止まって俯いてしまう。
「私って、魅力無いかな……」
 ぽつりと呟く。
「そうだよね、薬狂いの女らしさの欠片もない、変な奴だもんね。天目みたいに綺麗じゃないし。何処の馬の骨とも分からない、汚い女だもん」
「お、おい」
「……そう、思ってるんでしょ?」
 涙に濡れた目で、振り返ると、九峪を見つめる。
 九峪はやれやれと内心ため息を吐きながら、忌瀬に詰め寄る。
「そんなこと無いさ。忌瀬は十分魅力的だし、汚くなんかない。着飾ることしか脳のない、そこら辺の女に比べたら遙かに魅力的だよ」
「ん、嬉しい」

 二人の顔が近づき、唇が触れあう。
 九峪は忌瀬の身体を抱き寄せる。
 忌瀬は求めるように口を開き、九峪もそれに応じる。
 舌がお互いの口内を行ったり来たりしながら絡まり合い、唾液を交換し、むさぼりあう。
 数分して、ようやく二人が離れる。
 惚けたような顔をして、忌瀬は力が抜けたように体重を九峪に預ける。
 九峪はゆっくりと忌瀬の身体を地面に横たえた―――



 
 約二時間後……

「私にも赤ちゃん出来ないかなぁ」
「縁起でもない……。天目に殺される」
「別にいいじゃない」
「よくねぇっ!」

 下腹の辺りを抑えながら、幸せそうな笑みを浮かべる忌瀬。
「赤ちゃん出来たら、私と一緒になってくれる?」
「嫌だな、それ」
「なんで?責任とって貰うからね」
「そんなことで一々責任取ってたら、身体が二つや三つじゃ足りないだろ?」
「なに、さも当たり前のように言ってるの……」
「小夜も桂も天目の子供じゃないって事くらい、知ってんだろ?」
「確かに、見た目は似てないけどさ。よく殺されないね」
「ふっふっふ、天目は所詮俺無しじゃ生きられないからな。まあ、五回ほど刺されてるんだが……」
「じゃ、告げ口してやろ~っと」
「やめろ」
「それが人にものを頼む態度?」
「どうすればお気に召しますかね、忌瀬ちゃんは」
「んふふ、もう一回して♪」
 とろけるような笑顔。

 結局その日はその場で夜を明かすことになったとか何とか……



 詳しい話は、二人のヒミツ。










追記:
 天目贔屓のはずの出雲盛衰記。あれ?忌瀬贔屓になってるぞ?
 日魅子のポジションが天目になると、出番がなくなっちゃいますねぇ。哀れ天目(合掌
 さて、一応続きを書いてみたが、いきなり一人で曼荼羅華取りに来ている忌瀬。これが小説版の曼荼羅華編とリンクしているのかいないのかは、全然考えていない状態。ま、ノリで書きますから、ノリで。
 一話毎に新キャラを出していきたいなとは考えていますが、キャラの数を考えただけでげんなりしますねぇ。どこまで続くのか未知数な出雲盛衰記。断言出来るのは出雲には凱旋したとしても最終話でしょう。出雲の状況とか全然分かりませんから。なのに出雲盛衰記?今更タイトルに不安を覚える今日この頃ですが、このままやります。
 では、続きを思いつくことを願いつつ、ヾ( ̄◇ ̄)ノ)) バイバ~イ
 
【2006/02/02 17:08】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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