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出雲盛衰記02
 出雲盛衰記
 二章 魔人



 出会ってしまったのが運の尽き。
 そう言う存在と言うのは何処にでもいるわけで……



 曼荼羅華は高山の湿地帯にはえている草で、それらしいところを探していた二人は、出会って二日後にようやく見つけた。
 忌瀬の話では尸操蟲を腹の中に飼っている、酔狂な知り合いを助けたいと言うことだった。

 尸操蟲とは、狗根国―――山都の国に本拠を持つ富国強兵な国―――の左道士―――怨念の籠もってそうな魔法を使う人―――が、人を操るときに使用する蟲の事だ。怪しげな分泌物を体内で垂れ流して、暗示にかかりやすくする。

 駆除するためには曼荼羅華をアレコレしたものを飲ませなければならないので、忌瀬が取りに来たというわけだ。

「尸操蟲ねぇ。あれ、鳴き声が不気味なんだよなぁ」
 九峪は思い出しているのか顔をしかめる。
「あの分泌液そのものは色々使えるんだけどねぇ。何せ希少な蟲だから」

「ん?お、あれがそれっぽいな」
 九峪はそう言って指さす。
「相変わらず目がいいわね」
 忌瀬はそう言って遠眼鏡―――暗視装置、拡大機能付きの便利な眼鏡―――で確認する。

「あんなの、どうやったらここから見えるわけ?」
「なんでだろうな。見えるんだからしょうがないだろ?」
「ま、しょうがないけど」

 忌瀬はなんとなく納得がいかないような顔をしていたが、考えていても意味はないと思ったのか、曼荼羅華の方へ歩き始める。
 九峪もそれに続いた。

「でね、その尸操蟲を使ったのが、どうやら深川みたいなのよ」
「へぇ。深川ね。生きてたんだ、あいつ」
「本当女に甘いんだから、あのとき殺しておけば、私はこんなに苦労しなくて良かったのに……」

「それは俺に会えなくても良かったって事か?」
 意地悪に九峪がそう言うと、忌瀬はため息を吐く。
「そんな事言ってないでしょ~。もう、本当に」
「ははは、は……」

 拗ねる忌瀬を笑っていた九峪の顔が強ばる。
「どうしたの?」
「いや~な予感」
「ん?」

 九峪はゆっくりと振り返る。

 ザザザザザザ

 さして深くもない沼地を水しぶきを上げて、近づいてくる何か。
「あれって、もしかして……」
「皆まで言うな……」

 二人とも顔色が悪い。
「「魔人」」

 つぶやきに呼応でもしたかのように、魔人は動きを止めると立ち上がり、二人を見つめる。
 緑色の体表をした、カッパのような魔人だった。

「九峪……任せていいかな?」
「一人で逃げようってか?」
「うん。か弱い女の子にはちょっときついわ」
「俺もか弱いおっさんなんだけどねぇ」
「天目と夫婦になれるだけで、アンタは凄いよ。天目に比べれば可愛いもんでしょ?」
「……」

 そうだなと頷こうと思って九峪は慌てて首を振る。
「じゃ、時間だけでも稼いでよ。曼荼羅華取ってさっさと逃げましょう。任せたよ~、九峪」

 忌瀬は薄情にもそう言って踵を返す。
「おいおい。俺は数万人も殺戮するようなテロリストでも、無敵補正がかかったクズでも、シロクマ倒せる小学生でも無い、人畜無害なタダのおっさんだぞ」

 九峪の抗議の声は忌瀬に届いていないようだ。九峪は苦り切った顔で魔人を見る。
 対称的に魔人は嬉しそうにその口を歪めた。

「ひ、久しぶりの得物だぁああ、どうやって、喰ってやろうかぁ。頭から喰ってやろうかぁ、それとも、足の先から躍り食いがいいかぁ、動いている心臓をそのまま喰うのもいいなぁ」

 食べ方を色々吟味している魔人。九峪は引きつった笑みを浮かべる。
「おい、俺は美味くないぞ~。喰うならあっちの若い女の方が美味いんじゃないか?」
「あ!九峪酷いっ!」

「両方喰えば、いいだけの事だぁあ。どちらも、逃がさないぃぃいぃ」

「「……」」

 閉口する二人。

 魔人は忌瀬と九峪をじろじろ見た後、暫く考えるような仕草をして、勢いよく走り出した。

「まずわぁ、まずそうな男の方からだぁああ!!」

「げっ!まじかよ」
「がんばれ、まずそうな九峪!」

 忌瀬からのやるせない声援に九峪はため息を吐きながら、魔人に対して無防備に構える。

「死ぃいいぃぃいいいいい、ねえぇええぇえええぇええっ!!」

 魔人の叫びと共に振り下ろされる腕。
 九峪はじっとそれを見つめ、呟いた。

「時は、止まる……」

 その瞬間、世界の何もかもが停止した。

 時の止まった世界、その中で九峪だけが動く。
 荷物の中から小瓶を取り出すと、中の液体を魔人の口の中に注ぎ、急いで魔人から横にずれる。

「時は、動き出す」

「おおおおおおおぉぉおお、お!?」

 当たったはずの快心の一撃の手応えが無く、慌てて振り返ろうとした魔人。
 しかし、反転する間もなく、白目を剥いて泡を吹きながら倒れた。

「あれ?」
 忌瀬が一瞬で移動した九峪と、突然ぶっ倒れた魔人を交互に見て首を傾げる。

「ふう、死ぬかと思った」

 九峪は盛大にため息を吐いている。
 九峪自身は別に人より力が強いわけでも、動きが速いわけでもない。旅人を長年やっていたおかげで、体力はついているが、言うなればそれだけ。
 忌瀬が不思議に思うのも無理はない。

「九峪、今何したの?」
「十歩蛇の毒を口の中に放り込んでやったのさ」
「ふうん。毒をねぇ。全然見えなかった」
「ま、どうでもいいじゃん。さっさと曼荼羅華取ってこんな場所出て行こうぜ」
「そうだね。さすがにもう魔人はいないと思うけど」

 忌瀬は納得していないような顔だったが、九峪に促され頭を切り換える事にした。




「―――なんだ、今のは?」
 九峪が魔人を片づけた手際を見て、眉根を寄せている奴がいる。
「早いとか遅いとかじゃないな。見ていてもそんな手練れには見えないし……」
 一人ぶつぶつと呟く。
「まあいい、暫くつけて様子を見るか」
 怪しい奴はそう言って忌瀬と九峪の後を追い始めた。





追記:
 ご機嫌麗しゅう皆様。
 連日の小説更新。
 そんな暇があるなら編年紀か幻聴記の更新をしろと言うところかも知れませんが、息抜きですよ息抜き。

 ともあれ魔人戦です。
 作者のSSではいつも早めの登場になることが多い魔人ですが、さっさと終わらせたいと願ってる作者の思惑通り、二章で出てきやがりました。
 早ッ!

 さらに九峪の狙いすぎな特殊能力。

 ザ・ワールド!

 本当にもう、jojoかよっ!って一体何人が突っ込んだんでしょうねぇ。ま、見てる人の人数が少ないので、大した数ではないでしょう。別にスタンドまで出すつもりはありませんので……。一応特殊能力を得た理由はその内さらっと語る予定ですが、わかりやすい理由ですよ。いえ、本当に。
 最後に出てきた人は一体誰なのか、それは次回のお楽しみです。
 本当はギャグっぽいノリで書きたいんですが、なかなか上手くいかないなぁ。次回は頑張ります。
 それでは今回はこの辺でヾ( ̄◇ ̄)ノ)) バイバ~イ
【2006/02/03 00:02】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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