スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【--/--/-- --:--】 | スポンサー広告 | page top↑
出雲盛衰記45
 出雲盛衰記
 四十五章
 
 
 
「だ、だからですね。私も別に好きでのんびりしていたわけでは……」
「黙れ売女! なんと言おうと貴様が俺の未来を激変させたのは変わらんわ!」
「うぅ。すみません」
 閑谷と虎桃、真姉胡で石舞台に突き刺さった女を何とか引き抜くと、意外とぴんぴんしていた女は直ぐに弁明を始めた。

「で、結局俺は何をするためにこの世界にきたんだよ!」
「だから、私の子供達を救って貰うために……」
「誰だかわからんだろうがっ! もっと詳細を言え!」
「い、今言いますから」
 女は「十五年前は私にドキドキしてる可愛い男の子だったのに」とかぶつぶつと呟きながらも、語り始めた。

「まず、私が誰かと言うところからお話ししなければなりませんね」
「もったいぶらずにさっさと言え!」
「……私はいわゆる耶麻台国の初代女王、火魅子です。姫御子とも言います」
「あ゛?」
 ものっすごい顔で眼つける九峪。

「そんな目で睨まないでくださいよぅ。ホントに私が火魅子なんですから」
 唇をとがらせる女。
 閑谷は腕を組んで唸りながらも、
「確かに初代火魅子、いわゆる姫御子は天空人であると言い伝えが残っていますから、外見に関してはなんとも言えませんけど……」
「そうそう。天空人にとって千年と言ってもせいぜい外見的には五年かそれ以下しか変わらないから」
「でも天空人なら羽があるはずじゃ?」
 真姉胡は自分の知識の中から天空人の特徴を言ってみる。

 姫御子はノンノンノンと立てた人差し指を横に振る。
「確かに有翼種もいるけど、それが天空人の全てじゃないのよ。むしろ羽生えてるようなのは下っ端ね」
「へぇ~」
 なぜか得心顔の虎桃。

「天空人かどうかなんてどうでもいいんだよ。その話が本当なら、お前が救って欲しいのは耶麻台王家の連中ってことか?」
「それでいいなら簡単なんだけどね。事情はもう少し複雑なの」
「聞くだけ聞いてやろう」
「まず、私から派生した耶麻台国の系譜だけど、約六百年前に枝分かれしていて、そこから出雲王家が誕生しているのよ。だから滅亡寸前だったこの国にまず初めにあなたを送り込んだ」
「事前にその辺の説明くらいしておけ、このボケ」

 九峪はすかさず姫御子の後頭部を殴りつける。
「うぅ。殴らないでよぉ。説明したら引くでしょ九峪君」
「当然だ」
「私も背に腹変えられなかったの」
「言い訳するな。殺意が目覚める」
「……。じゃあ続きだけど、それから百年後くらいに今度は狗根国の現在の王朝の祖となる人が出奔してるの」
 姫御子はそう言って天を仰いだ。
「つまり、今倭国の西側の勢力は殆ど私の子孫が仕切ってるのよ」

 壮大な歴史の話に、閑谷と真姉胡は感心していた。虎桃はどうでもいいのか蝶々を目で追っている。
「で、お前の子孫が滅びると何か困るのか? お前が困るってだけならまた殴るからな」
「そんなワケないでしょう。確かに自分の子供達が争っているのはいただけないけど、正直六十代以上交配を続けた後の子孫に私の血なんて一滴だって流れてないです」
「じゃあなんでだよ」
「焦らないで。順を追って話すから。まず、世界の均衡というものから」
 姫御子はそう言ってどこから取り出したのか、チョークで石畳に一部が重なるように楕円を二つ書いた。

「この世界が五天からなっていることは知ってるわよね? すなわち天界、仙界、人間界、魔獣界、魔界。この絵のようにそれぞれの世界は観念上一部が干渉した状態で存在している。これは魔界の黒き泉や天界の扉などと言った形で現れているわけ。これはいいわね?」
 一同頷く。
「干渉部があるために、一定の手続きさえ踏めばその間を自由に行き来することも可能なんだけど、元々五つの世界が干渉して存在すると言うこと自体、不安定で危険な事なの。それこそいつ消滅してもおかしくないほどにね」
 姫御子はそこで一つため息を吐く。
「でもね。そんなこと知ったことかって思ってる魔界の馬鹿どもどかは、ずかずか人界に入ってくるし。別の世界の者が流入してくる事で世界が重なり合っている部分が、どんどんと内側にずれ込んでいくのよ。人の一人や二人なんて大したことではないのだけど塵も積もれば山となるというか。かつて人界で派手に起こった魔天戦争の折、そんな事は天空人ですら知らなかった時代には行き来も頻繁にあって、これ以上傾くと世界同士の干渉がのっぴきならないというところまで進んでしまった。臨界ギリギリでその事実に気がつき、魔族との間で人界との不干渉が決定されたの。さすがに魔界の馬鹿共も、世界そのものが無くなっては困るから」
「では、現在の狗根国の魔人召喚は問題があると?」
 閑谷の言葉に姫御子は微妙な顔で頷く。

「まぁ、一応そうなるわね。ただ、今のところ狗根国の左道士が総出で召喚を続けたとしても、最終的に臨界点を突破させる前に、この星の寿命が尽きるけれどね」
「つまりは何の問題もないってこったな」
「どこまで考えるかということでもあるわ。そしてそんな理由で私は九峪君を呼んだわけではないのです」
 姫御子は一つ息をついて続きを語り出した。

「臨界点が近づいていることをそもそも見つけることが出来たのは、五天以外の次元の発見でした」
「それって第六天……」
「人間の間で言われているそれとは別物です。そもそも第六天など存在しません。まぁ、その異世界こそが、九峪君のいた世界というわけです」
「なるほど」
「次元がどういう歪みを持って新たに九峪君のいる世界と干渉したのかは分かりませんが、五天と違い完全に別物である九峪君の世界では、ごく僅かに干渉しただけで何が起こるか未知数なのです。実際観測された時も、五天全土で天変地異が巻き起こりました。五天同士の干渉が増える分には悪影響はそれほどではなくとも、その間での干渉が増すことによって、相対的に九峪君の世界とも干渉率が増える事を考えれば、五天の間だけならば些細な事と言えても、結果的に著しく世界の寿命を減らす行為となっている可能性があるのです」

「むぅ。わかりにくいな」
「ともかくこのままでは九峪君の世界をも巻き込んで、六つの世界が消滅すると考えてください」
「……それを阻止する手だては?」
「あります。九峪君に来て貰ったのもそのためですから」
 姫御子は九峪の手を取ると、それを頭の上に掲げるようにして頭を下げる。

「お願いします、九峪君。どうか、私に力を」
「具体的にはどうすりゃいいのよ」
 呆れたような九峪の台詞。姫御子は嬉しそうに対策を口にする。
「とりあえず今現在の九洲に、私の形質を良く継いだ子供達がいます。その子達を集めてください」
「って、言われても誰が誰だかわからん」
「そのために便利な道具があります。ええと、波長も感じますからまだ現存してますね。方角から言うと九洲に」
「ほう。なんなんだ?」

「天魔鏡という、ちょっとお茶目な精霊が宿った銅鏡です。ご存じですか?」
「天魔鏡、ねぇ」
 九峪はどうしたもんかなと頭を掻く。
「?」
 首を傾げる姫御子。
「伊雅のおっさんの怨敵だからなぁ。急がないとたたき割られると思うぞ」
「えぇっ! あれ作るのに一体何年かかると! そんな時間は無いんですよ!」
「俺が知るか!」
 額を付き合わせて唸り合う九峪と姫御子。

 そんな二人を尻目に、蝶々を目で追っていた虎桃が、空を見上げてぽつりと呟いた。
「……こう言うの、渡りに船って言うのかなぁ」



 川辺城を三千あまりの再興軍が取り囲んでいる。
 とは言え三千では完全な包囲は難しい。天目は兵を北面と東面に集中させて展開させていた。

「天目さん。いよいよですね」
 南から部隊を率いてきた志野はそう言って川辺城の方を見つめた。
 天目は軽く頷く。
「ああ。難しいのはこれからだな。思った以上に兵をまとめるのが上手くいったからいいようなものだが、どのみちこの後は狗根国と一戦やらなければならないしな」
「ええ。そのことで深川さんからお話が……」
 天目は背後に控えていた深川に視線を送った。
 空中で火花が散るが、それも一瞬のこと。天目が柔らかい笑みを浮かべると、深川は毒気を抜かれたような顔でとまどいを見せた。

「久しぶりだな」
「私とお前は久闊を除す間柄ではない」
「それもそうだが、心配はしていた」
 意外な言葉に深川はますます困惑する。
「お前を都督に置いてけぼりにしたのは、私が九峪に言ったからだ。九峪を、誰にも取られたくなくてな」
「……そうか」
「あの頃は、世話のかかるお前の方ばかりに九峪がかまけていたから、不安だったんだ」
「……」
 深川は何とも言えないような表情で、視線を逸らす。

「どうでもいい。昔の話だ。それよりも狗根国の本国からの増援が動いているらしい」
「ほう」
「まだ攻めては来ないだろうが、あまり時間はないぞ。東山の思惑からすれば彩花紫を巻き込む形での戦争に発展した後だろうが、堪え性のない奴だから直ぐにせめてこないとも限らない」
「東山……か」
 天目が僅かに眉を潜めた。

「あ奴だけは生かしておけんな」
 ぽつりと呟いた言葉の裏に、隠しようもない殺気が籠められている。
「ともかく、今は川辺城攻略です。一筋縄ではいかないでしょう。あちらにもまだ兵力はありますし。籠城戦となれば、この頭数では絶対の勝ちの保証もありません」
「そうだな。しかし、火魅子候補はあちらにも二人いたはずだな。星華の他に」
「え、ええ。それなんですが……」
 志野にしては歯切れも悪く言いよどんでいる。

 その時、ちょうど川辺城の正門が開き、人が二人出てきた。
 見慣れぬ格好の女二人。
 志野が息を飲むのが分かった。

「あれが、そうか……」
「一人は火魅子候補の母親です」
「ふん。ではあからさまな偽者と言うことか?」
「いえ、血統的には確かに王族であると」
「なるほど……」
 天目が楽しそうに女二人を見つめる。チャイナドレスに身を包んだ少女と妙齢の女性。

 自然、足が二人の方へと向かっていた。













追記:
 公言通りまた更新しましたよ。ついに謎の女の正体が! というか、九峪がこの世界に召喚された理由が暴露されました。ようやく。
 姫御子ちゃんの説明がわかりにくいので説明を要する人は質問して頂ければお答えします。正直作者の頭の中でもまだまとまっていなかったりしますしね(爆
 姫御子の性格に関しましてはなんかあんな感じになりました。威厳とか無いけどまぁ、それはそれでいいんじゃないかと個人的には思ってます。ええ、あくまで個人的に。

 ではweb拍手のお返事をば。
 一昨日分、始めの二件。

0:45 最後のあつーいシーンはドコいっちゃったの~~~~~
0:47 九峪にジャーマンをやらせたのは、ここが世界初でしょう(w しかし、おとぼけキャラだったとは…>女
 と頂きました。
 どこにいったんでしょう。探してみます。見つかり次第掲載したいと思います。
 プロレスはあんまり見ないんですけどねぇ。時々突発的にプロレス技を使わせたくなる病気があるようで。その内フランケンシュタイナーとか、DDTとか使うかも知れません。シャイニングウィザードは一回使った気もするけど、別の作品だったかな? どうでもいいですね。
 姫御子に関しては、まぁ、ただの神々しいお姉さんでは書くのがつまらなかったので……。
 コメントありがとうございました。

 そして残り二件。

16:35 盛衰記の方面白おかしく読ませていただいてます。 エンディングまでこの調子で頑張ってくださいー
16:37 終わった後に書かれる新説も頑張ってblogの場所を探しますよー Σ(・ω・)ゞ ピシッ!!
 と頂きました。
 面白おかしく、書けてるでしょうか。書けてれば幸いです。ついついシリアスに突っ込みたがるので、前回は軌道修正を(今更)してみたんですけど。
 新規ブログに関しましては、入り口は既にある場所にありますが、そこはかとなく難しいかもしれませんね。まぁ、多少勝手を知ってる人には簡単かも知れませんけど……。
 コメントありがとうございました。

 昨日分。一件。

0:41 火魅子キター!?
 と頂きました。
 やはり分かる人には分かるか。まぁ、容姿は漫画版のそれにあわせたつもりです。身長は高いけどね。髪の色とかは白髪なんだか金髪なんだか白黒じゃ分からないんで、金髪にしたんですが。やはり性格が……。
 コメントありがとうございました。

 他にも叩いてくれた人たちに感謝を!

 では本日はこの辺でヾ( ̄◇ ̄)ノ)) バイバイ
【2006/06/02 19:58】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
<<出雲盛衰記46 | ホーム | 出雲盛衰記44>>
コメント
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURL
http://sophist00.blog48.fc2.com/tb.php/82-ae3e7aa1
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。