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出雲盛衰記59
 出雲盛衰記
 五十九章



 九洲は復興戦争後、狗根国からの支配を脱し、同時に過去の禍根を忘れて同盟を締結、相互不可侵条約を結んだ。これによって、今は平安が保たれている。

 火魅子には藤那が即位し、その補佐を志野が務めている。
「志野。私は正直お前の方が火魅子に向いていると思う。知識も能力もお前の方が圧倒的に上だ」
 初め藤那はそう言って志野に位を譲ろうとした。

 だが、志野はそう言う藤那だからこそ火魅子であるべきだと、自分は補佐する立場を固持した。

「後ろから操る方が志野らしいもんね」
 そう零した珠洲のその後は聞かない。多分元気でやっているんだろう。


 他の火魅子候補について。伊万里は山人として育てられ、知識など何もないと言うことで、補佐として雲母をつけられ火向を治めている。上乃とともに毎日政の勉強。山人に戻りたいと泣き言を言う毎日だとか。
 それから仁清だが、寝太郎に散々搾り取られたせいか、今は老人のように悟りを開いた顔をして縁側でお茶を啜る毎日。彼もまた、戦争の被害者と言えるだろう。

 香蘭は豊の国(豊前、豊後)を治めている。元々火魅子候補の中では志野の次くらいに教養があるので、政そのものは苦にならないようだ。それでも慣れていないのは確かで、母親の紅玉と毎日頭を悩ませている。ともあれ、倭国を目指した時に抱いていた、国を手に入れるという目標は果たされたわけだ。
 現在、新しく出来た弟をどういう風に育てようか二人で思案中のよう。いつかこの地からクーデターが起こるかも知れないが、起こるとしてもそれはまだ先になりそうだ。

 星華は火後を預かった。こちらも元々支配階級の人間として育てられてきたので、統治そのものはお手の物。現在のところ、火後の統治以外にも、廃れていた社稷を九洲全土に復活させることと、祭事を積極的に行って宗像神社の復権に尽力している。火魅子候補の中では意外かも知れないが、一番まじめに活動しているようだ。

「亜衣の分も、頑張らなくてはいけませんからね」
 それを合い言葉に、衣緒と羽江とともに一日一日を頑張っている。

 また、時折この地を飛竜が飛んでいるのが見かけられる。
 魅土なりに、監視のつもりなのかも知れない。

 耶麻台国としては、藤那の火魅子という立場もあと数年の限定的なもので、清瑞が大きくなったら火魅子は清瑞が継ぐ事になる。伊雅は一段落したせいか、最近めっきり老け込んで、来年当たりぽっくりいってもおかしくない状態だ。

「大丈夫じゃ。儂は清瑞が婿を取るまで死なん」
 などと言っているらしいが、今のところそう言う話を持ってくる豪族達は、全て伊雅によってたたき出されていたりする。多分伊雅が死ぬまで婿は門前払いで取ることは出来ないだろうというのが、耶麻台国幹部の一致した意見でもある。逆にそのことが生き甲斐になって長生きするかも知れない。世の中ままならないものだ。
 蛇足としてだが、最近清瑞が食事中に突然席を外すことが多くなっている。伊雅はボケ気味なので気づいていないが、暫くしたらショック死するような事実が広まるかも知れない。どのみち犯人はこの世にいないわけだが。



 狗根国の方は大王が死んだことによるお家騒動が長引いている。一応は蛇蝎が推して紫香楽が大王の座に臨時に着いたが、十年以上音沙汰の無かった自称王族で、しかも全くの無能と来ては直ぐに反発の声が上がった。血筋から言えば彩花紫に勝るものは一人もいないのだが、年齢が若いことと、優秀すぎて官吏の一部から煙たがられているので、そちらからの工作によって狗根国での女王誕生はまだ実現していない。
 後ろ盾として、蛇蝎や帖佐などがついていることを考えれば、それも時間の問題かも知れない。

「はい、お兄様。あ~ん」
 当の彩花紫はと言うと、帰ってきた紫香楽に思い切り甘えている毎日だ。
「あ~ん」
 馬鹿兄貴紫香楽は、鼻の下を伸ばして彩花紫の好きなようにさせている。
 色々ゴタゴタして結局は未だ紫香楽は大王のままなので、彩花紫に下心があるのは見え見えだった。が、幸せな馬鹿はそんなことには気づかない。

「ねぇ、お兄様。大王のお仕事はおつらいでしょう? 何でしたら私が変わって差し上げてもよろしくてよ」
 そんな台詞にまんまと引っかかって王位を簒奪されるのは、やはりそう遠い事ではないようだ。



 そして、復興戦争に関わりながらも、野に下った者、或いは元の場所に戻っていった者達。

 寝太郎は九峪からの口添えもあって、晴れて七支刀を姫御子から受け取り、娘達と竜宮に帰っていった。一説では寝太郎のせいで性に対するトラウマを持つ少年が増え、九洲の出生率が低下したとか言われているが、事実のほどは定かではない。
 ちなみに七支刀を竜宮の乙姫が欲しがっていた理由だが、普通の剣では切れない鉱石があって、それをカッティングするのに使いたかったらしい。まさしくお使いだったわけだ。寝太郎はその事実に拗ねて、また長い眠りについた。

 魔兔族三姉妹。兎華乃、兎音、兎奈美は、再び阿祖の山奥に引っ込んで、高麗人参の栽培にせいを出している。まぁ、頑張っているのは例によって兎音と兎奈美で、兎華乃は二人の妹の目を盗んでは、保存してある九峪の腕や頭の干物を嘗めたりかじったりして恍惚として、それがばれて姉妹喧嘩になったりと、とりあえず近づかない限りは平和な毎日を送っているようである。


 そして、意外な二人が一緒に旅をしていたりする。

「お~い、深川。ぼうっとしてると置いてくよ」
 背中に薬箱。前には赤ん坊を吊した忌瀬が急に立ち止まった深川に声を掛ける。

「ああ。悪い」
 深川は何か気にしながらも忌瀬に追いつくと並んで歩く。

「どうしたの? 突然立ち止まったりして」
「いや。声が聞こえた気がして」
「声?」
「ああ。天目の、勝ち誇ったような笑い声が……」
 忌瀬は、その光景がありありと浮かんできて顔をしかめた。

「それは嫌な幻聴ね。そう言えば天目達は結局出雲復興するとか言って出て行ったんでしょう? そのまま耶麻台国でいい暮らしすればいいのに」
「まぁ、仕方ないだろう。それが出雲王家に生まれた者が背負っている業なんだろうからな」
「深川も本当は手伝いたいんでしょう? いいんだよ、行ってくれても」
「ふん。だれが」
 忌瀬は鼻息も荒く否定する深川を見てケタケタと笑う。

「でも、なんで薬師になりたいだなんて思い立ったの? 今更だけど」
「別に、なんでも良かったんだ。ただ十五年、九峪が見て回ったものを私も見てみたくなった。だから旅がしたかったんだが、先立つものも無いしな」
「なるほどねぇ。確かに人のはらわたこねくり回してもお金にはならないもんねぇ」
「……お前にもやってやろうか?」
 半眼で睨み付ける深川。
 忌瀬はまたケタケタと笑い、冗談だよとごまかす。

「まぁ、そう言うことなら私の事は師匠と呼んで貰いましょうか」
「お断りだ」
「ノリ悪いわねぇ。まぁ、いいや。それじゃあ旅の前に私の師匠の墓参りに付き合って。弟子が出来たら報告する決まりだから」
「……」
 深川は呆れたように頷いて見せた。



 時は、それから緩やかに、時に激しく流れる。
 そして三年後。

 出雲での反乱。狗根国の支配からついに脱却する事になる。

 だがしかし、その反乱において、何処にも天目という名は存在しなかった。













追記:
 面倒なので箇条書き的脇役達のその後。ちゃんと書くと膨大な量になる上、だからどうしたという話にしかなら無いし、全体の分量から行くとエンディングで五章も六章も使うのはどうかなということでこんなもんに。それにしても少し手を抜きすぎたかなぁ。
 さて、最後の一文が例によって意味深だが、次回でグランドフィナーレ(?)です。


 ではweb拍手のお返事です。
 一件目。

0:36 姫神子ちん、あんたって子わぁ~! なにやらかしてるかなぁもう(笑 エンディング楽しみにしてます!
 といただきました。
 ちんって言うな~、と姫御子が申しておりました(笑 何をやらかしていたのかは次回で明らかになります。まぁ、災い転じて福となすというかなんというかね(謎
 コメントありがとうございました。

 二件目。

0:52 彩花紫だけ別れの言葉を言わず最後に出るだけですが……空気?結局この2人が親子だと皆知ったのかな?
 といただきました。
 彩花紫はまぁ、特に本質的な所ではないので(ぇ まぁ、もう少し九峪との絡みとか書いても良かったかなぁとは思いますが。それでも音羽に比べればいいでしょう(爆
 コメントありがとうございました。

 三件目四件目五件目。

7:11 許してくれる受け止めてくれる人が居るっていいことだよね。
7:11 ひとまずおつかれさま天目
7:17 姫御子の間違えってなんでしょうねえ、いったい彩花紫がどうしたのか。
 といただきました。
 そうですねぇ。どんな悪事でも許してくれる人がいれば多少は救われますしねぇ。まぁ、東山殺すのにそんな色々理由付ける必要も無いと思うんですが。ああいう人は死なないと。
 姫御子の間違いは次回。彩花紫が関係しているかと言われれば、原因の一つと言えるかも知れません。まぁ、現状じゃ読み手には分からないと思いますけど。
 コメントありがとうございました。

 六件目。

12:32 力の限り叩いたら大吉だったんでも一度クリック~~!
 といただきました。
 ああ、そう言えばそんなお礼コメント入れてましたねぇ。すっかり忘れていました。一時期おみくじ的にやろうかなという魂胆もあったんですが、押す度に運勢変わるんじゃあれなんで、大吉だけ入れておいたような……。そろそろまた変えようかなぁ。
 コメントありがとうございました。

 七件目。

15:15 間違ったってなにぃ????????wwwwwwwwww
 といただきました。
 さぁ~って、何を間違ったのやら。間違ったというか、忘れていたというか。まぁ、姫御子らしい凡ミスですな。詳細は次回。
 コメントありがとうございました。

 他にも叩いてくれた人に感謝を!

 次回更新は日付が変わって直ぐになるかな~と思います。まぁ、なので半日後には出せるかなぁ。出せなければ来週の月曜日になるとおもいますけど。

 では本日はこの辺で。ヾ( ̄◇ ̄)ノ)) バイバイ
【2006/07/07 13:49】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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